第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

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ポスターセッション74(III-P74)
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Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:倉岡 彩子(福岡市立こども病院 循環器科)

[III-P74-01] 末梢動脈閉塞をきたした大動脈炎症候群の1例 ―MRAはどの範囲まで撮像すべきか―

堀口 泰典1, 鈴木 淳子2 (1.国際医療福祉大学熱海病院 小児科, 2.東京逓信病院 小児科)

Keywords:大動脈炎症候群, 上腕動脈, MRA

【目的】末梢動脈(左上腕動脈)閉塞をきたした大動脈炎症候群例(Aortitis)を経験したので報告する。【症例】13歳時にAortitisを発症した37歳女性。急性期、全身倦怠感、体重減少(-6kg/3ヶ月)微熱などの症状で、血液検査上WBC7800 ESR94mm/h CRP6.6と急性炎症反応亢進が認められた。また、AST57 ALT87と経度の肝機能障害もみられた。心血管造影で上行大動脈拡大の他、大動脈弓主要分枝、特に左総頸動脈の狭窄が認められ診断が確定した。副腎皮質ホルモン、アスピリン投与を開始されたが、GOT/GPT=101/123となりフルルビプロフェンに変更された。経過は順調であったが、胸部大動脈、腹部大動脈をMRIで定期的に評価した。診察上、左橈骨動脈は右に比べやや拍動が弱かったがマンシェットによる血圧測定では上肢血圧の左右差はなかった。炎症反応、症状は徐々に改善。副腎皮質ホルモンを順調に減量できた。左上肢のしびれ、易疲労性など無く経過したが、発症20年目のMRI検査で検査エリアを上腕まで広げたところ左上腕動脈の閉塞と側副血行による再開通所見が認められた。【考案】Aortitisでは大動脈主要分枝の分岐部狭窄、大動脈瘤形成等が主な動脈病変であるとされていることもあり本例では左橈骨動脈拍動性がやや弱いものの無症状であったため上腕動脈の閉塞には全く気付かなかった。Aortitisは全身の動脈炎が生じると考え、少なくとも上腕、大腿までのMRAを行うべきであった。今後、年齢と共に左上肢の血行障害をきたす可能性があり抗血小板薬等の継続投与が必要と思われる。 【結論】1)Aortitisで左上腕動脈の閉塞を伴った1例を報告した。 2)大動脈分枝近位部のみでなく四肢のMRAによる評価も必要である。