[III-P74-03] 完全大血管転位に合併し複数のmodalityで診断したunroofed coronary sinus、冠静脈洞開口部狭窄例
Keywords:画像診断, unroofed coronary sinus, 完全大血管転位
【背景】unroofed coronary sinus (unroofed CS)、冠静脈洞 (CS) 狭窄はそれぞれ稀な構造異常であり、両者を合併する例は極めて稀である。さらに完全大血管転位 (TGA) を合併した症例の報告は今までに認められない。複数のmodalityで診断し得たので報告する。【症例】1生日男児。産科病院で出生後、低酸素血症のため総合周産期センターへ搬送され、TGA、三尖弁輪間を走行する異常血管を指摘され、当院へ搬送された。心エコーでTGA I型 (Shaher 1)、CS開口部狭窄と診断した。三尖弁輪を走行する血管は拡大した小心臓静脈 (SCV) であり、血液は逆流して後右方で右心房へ開口し、加速血流を認めた。卵円孔は狭小化していたため、日齢2に心房中隔裂開術を施行した。Laid backで冠動脈を確認し、静脈相で冠静脈の走行を確認した。CSへ入り込むnegative flowを認め、unroofed CSと診断した。SCVを逆行する血流も確認した。術後左房圧低下のため、SCV開口部の流速は低下していた。日齢8、造影CTを施行し、冠動脈走行、unroofed CSを確認した。左右短絡による右心系容量負荷の可能性や、右左短絡からの脳梗塞の懸念があるため、CS開口部、SCVの右心房開口部の閉鎖を検討したが、狭窄があるため術中所見での最終判断とした。日齢13、大血管転位術を施行した。術中経食道心エコーでunroofed CS、SCVの両方向性血流を確認した。CS、SCVの開口部は極めて小さいため介入せず、卵円孔を閉鎖して終了した。術後、心エコーではCS開口部はほぼ血流を認めず、SCVは両方向性となっていた。その後も右心系容量負荷等の症状は認めず経過している。【考察】unroofed CS、CS狭窄は稀であり、術中に診断に至る時もある。冠循環に影響を及ぼす可能性があるため、大動脈転位術前には診断を確定し事前に処置を検討しておくべきであり、必要であれば複数の画像modalityを用いて評価することが望ましい。