第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション74(III-P74)
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2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:倉岡 彩子(福岡市立こども病院 循環器科)

[III-P74-04] coronary sinus orifice atresia, unroofed coronary sinus, persistant left superior vena cavaの1例

森下 祐馬, 梶山 葉, 竹下 直樹, 遠藤 康裕, 浅田 大, 河井 容子, 池田 和幸, 中川 由美, 糸井 利幸 (京都府立医科大学附属病院 小児科)

キーワード:coronary sinus orifice atresia, unroofed coronary sinus, PLSVC

【背景】coronary sinus orifice atresia (CSOA)は術中所見や冠動脈造影で偶然発見される稀な疾患である.通常unroofed coronary sinus(URCS)あるいはpersistent left superior vena cava (PLSVC)が併存し,どちらかが冠静脈血流の流出路となるが,その双方が合併し,左右短絡をきたした報告は少ない.【症例】在胎37週5日,出生体重2294gで前医にて出生し,心雑音のため日齢7に同院小児循環器外来に紹介となった.心臓超音波検査では無名静脈に還流する垂直静脈を認め,左部分肺静脈還流異常症が疑われた.その他の合併奇形はなし.1歳6ヶ月時の3DCTでCSOA,URCS(7mmの欠損孔),PLSVCを確認し,垂直静脈の血流と考えていたのはPLSVCを上行する左房とCSの混合血流であることがわかった.1歳10ヶ月時(体重8.8kg)に心臓カテーテル検査を行い,平均右房圧 5mmHg,平均PLSVC圧 8mmHg,平均肺動脈圧 16mmHg, 右室拡張末期容積127%ofNであった.造影検査で右冠動脈の起始異常あり.また,5Fr Burmanwedge catheterでPLSVC occlusion testを行い,CSの圧上昇をきたさず心電図でST変化がないこと,desaturationの出現がないことを確認した.また,PLSVCを閉塞しながらPLSVC造影を行って,CSの血流が平常と向きを変えて左房へ遅滞なく還流することを確認した.体重増加を待ってからの治療介入の方針で外来観察中.【考察・結論】本症例はCSOAにURCS,PLSVC,無名静脈の併存があり,左右短絡となっているので,心房中隔欠損症と同様の血行動態である.類似の病態で,成人期に右左短絡によるチアノーゼを契機に診断に至った症例の報告があり,その場合は血栓症も懸念される.今回我々は,積極的治療を視野にPLSVC occlusion testを行い,PLSVCの閉鎖が術式の候補となりうることを確認した.本症例のように,成人期に入り血行動態が大きく変化しうる病態に対しては一般的な治療基準が当てはまらない場合があり,治療適応と介入時期において慎重な判断が求められると考える.