第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション74(III-P74)
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2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:倉岡 彩子(福岡市立こども病院 循環器科)

[III-P74-05] 大動脈弓離断症の治療方針の決定と術後左室流出路狭窄の推測

小林 匠, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 浜道 裕二, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:大動脈離断症, 左室流出路狭窄, 心臓超音波検査

【背景】心室中隔欠損症を伴う大動脈弓離断症(IAA-VSD)はしばしば大動脈弁狭窄及び弁下狭窄を合併し,その重症度を術前に評価することは難しい.そのため,心内修復術(ICR)を行うか,Norwood型手術(NW)を行うか方針決定に難渋する症例が多い.【目的】IAA-VSDの術前の心エコー検査から治療方針の決定や術後の左室流出路狭窄の有無を推測すること.【方法・対象】2004年1月から2017年12月までに当院にて手術を施行したIAA-VSDの患者38人を対象に,診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】男児18人,女児20人.病型はA型16例(42%),B型22例(58%).合併奇形は大動脈弁狭窄27例(71%),大動脈弁下狭窄14例(37%)であった.初回手術時の日齢は13(中央値),観察期間は4.6±4.1年(平均値±SD).手術の内訳は,一期的ICR(大動脈弓修復+VSD閉鎖)20例,二期的ICR(Arch修復+PAB→VSD閉鎖)2例・(両側肺PAB→Arch修復+VSD閉鎖)3例,Norwood-Fontan手術10例,Yasui手術3例であった.ICR後の心エコー検査にて大動脈弁通過血流の加速(>2m/sec)を認めたのは9例(36%)であった.大動脈弁通過血流加速を認めた群(AS群)と加速を認めなかった群(nonAS群)の心エコー検査所見を比較すると,大動脈弁下径(LVOTD)がAS群の方が有意に小さかった.ROC曲線によるAS群とnonAS群を分けるカットオフ値はLVOTD/BSA=24.3mm/cm2(感度56%,特異度86%),LVOTD-体重=+2.3(感度89%,特異度57%)であった.一方,NW群では,LVOTDは更に小さい結果となり,ICR群とNW群を分けるカットオフ値はLVOTD/BSA=21.2mm/cm2,LVOTD-体重=+1.8(ともに感度91%,特異度85%)であった.【結語】IAA-VSDにおいて術前の心エコー検査の大動脈弁下径から治療方針の決定と術後左室流出路狭窄の有無の推測が可能である.