第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療遠隔成績

ポスターセッション75(III-P75)
外科治療遠隔成績 2

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科)

[III-P75-02] 出生体重2kg以下の先天性心疾患児の遠隔成績の検討

岩崎 秀紀1, 漢 伸彦2, 兒玉 祥彦1, 倉岡 彩子1, 石川 友一1, 中村 真1, 佐川 浩一1, 石川 司朗1, 小田 晋一郎3, 中野 俊秀3, 角 秀秋3 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 新生児科, 3.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:低出生体重児, 先天性心疾患, 遠隔成績

【目的】先天性心疾患(CHD)を伴う低出生体重児,特に極低出生体重児(VLBWI)の治療成績はいまだ不良である.当院でのCHDを伴う低出生体重児の手術介入および遠隔成績を検討し, 適切な手術方針について考察する.
【方法】当院で2010年1月~2018年12月に心臓外科手術を施行した症例で,出生体重2kg以下の66例(13・18トリソミーを除外)を対象とした. CHDおよび単独心外異常を有する38例(A群), 21トリソミー12例(B群), 遺伝疾患・多発奇形症候群16例(C群)のうち, A群38例を(i)体循環動脈管依存性心疾患10例, (ii)高肺血流群18例, (iii)低肺血流群10例に亜分類した. またFontan candidate 13例, VLWBI 20例の合併症・予後を検討した.
【結果】在胎週数25∽41週(中央値35週), 出生体重 448∽2000g(中央値 1670g), 観察期間4.9±1.8年. 死亡は15例(A群5%, (i)1例, (ii)0例, (iii)1例, B群42%, C群50%). 初回手術日齢:A群66±24日, B群80±20日, C群48±47日, 初回手術体重: A群 2.3±0.7kg, B群2.8±0.4kg, C群2.6±0.8kg. A群内では, 初回手術日齢:(i)23±21日, (ii)69±20日, (iii)87±80日, 初回手術体重:(i)1.8±0.1kg, (ii)2.4±0.5kg, (iii)3.4±0.7kgであった. (ii)群において, 慢性肺疾患(CLD)を3例, 気道狭窄を3例に認め, 介入を要した. A群でのFontan candidate 13例のうち, TCPC到達は6例, 到達年齢中央値4.6歳で, 体重増加不良・肺血管床低形成のため, 高年齢となる傾向があった. VLBWI 20例のうち, CLD 6例, 気道狭窄(声門下狭窄) 4例を認めた.
【結論】遠隔成績はB・C群は不良だが, A群は比較的良好である. (i)では特に低体重での姑息術が必要となるが, 遠隔成績はよい. (ii)群も遠隔成績がよいが, 気道狭窄・CLDの呼吸関連合併症が多い. (iii)群は体重増加を待つことが可能で, 遠隔成績に影響しない. VLBWIは合併症が多く, 特に長期挿管管理・高肺血流の影響と考えられる呼吸器合併症が多い.