第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスターセッション

外科治療遠隔成績

ポスターセッション75(III-P75)
外科治療遠隔成績 2

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科)

[III-P75-05] 心臓型総肺静脈還流異常症に対する左房後壁転位法の遠隔期成績

中辻 拡興1, 山岸 正明1, 前田 吉宣1, 板谷 慶一1, 藤田 周平1, 本宮 久之1, 高柳 祐二1, 夜久 均2 (1.京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.京都府立医科大学 心臓血管外科)

Keywords:総肺静脈還流異常症, 左房後壁転位法, 肺静脈狭窄

【背景】心臓型総肺静脈還流異常症(TAPVR, Darling分類IIa)に対する手術は、cut-back法やVan Praagh法等が知られているが、当院では左房後壁転位法を採用している。今回、左房後壁転位法術後の遠隔期成績について検討した。【対象】対象は2001年1月から2017年12月にTAPVR(IIa)に対して、左房後壁転位法を施行した3例。手術時日齢・体重は中央値142±45日、4.2±0.69kg。1例は肺動脈弁狭窄を合併例で、肺動脈弁交連切開術を併施。1例は動脈管の自然閉鎖を認めず、左側開胸による動脈管結紮術を先行。1例は術前末梢性肺静脈狭窄(PVO)を認め、左上肺静脈の末梢まで切開を延長し吻合した。【手術】冠状静脈洞(CS)の三尖弁側から心房中隔欠損下縁へ切開を置き、CS roofの三尖弁側を左房(LA)に向け切開。その切開線を逆J字型に共通肺静脈左縁から上縁、右縁へと延長、LA後壁で舌状flapを作成。このflapを心房中隔側へ転位させ、ASD辺縁からCS底面に縫着し心房内血流転換を行う。【結果】平均観察期間は140ヶ月(最長180ヶ月)。早期死亡、遠隔期死亡ともに認めず。術前、術後のPV流速の中央値はそれぞれ1.4±0.4m/s、0.9±0.5m/sで、いずれの症例もLA開口部の狭窄は認めなかった。術前末梢性PVO合併例で、術後2ヶ月で同部位のPVOを認め(左上肺静脈, PV流速2.0m/s)、術後4ヶ月にPVO解除術(sutureless technique)を施行し、以降PVO再発は認めず。末梢を含めた術後PVO回避率;は1ヶ月 100%、1年 66.7%、5年 66.7%であった。【結語】左房後壁転位法は自己組織のみで血流転換が可能で,共通肺静脈からLAへ開口部を大きく形成でき,比較的小さな患児でも施行可能である。