第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスターセッション

外科治療遠隔成績

ポスターセッション75(III-P75)
外科治療遠隔成績 2

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科)

[III-P75-06] 北海道における完全大血管転移症に対する外科治療の成績

荒木 大1, 夷岡 徳彦1, 大場 淳一1, 加藤 伸康2, 新井 洋輔2 (1.北海道立子ども総合医療・療育センター, 2.北海道大学 循環器外科)

Keywords:TGA, Surgery, Hokkaido

【目的】完全大血管転移症(TGA)に対する大動脈スイッチ手術(ASO)後の成績の検討を行ったので報告する。【対象と方法】2000年から2019年までにTGAに対してASOを施行した56例を対象とした。手術時日齢は8.0(1-106)日、手術時体重は3.1 (1.8-5.0)kgであった。TGAのI型が32例、II型が24例あった。合併心疾患は大動脈縮搾・離断症が7例、完全型房室中隔欠損症合併例が1例、重複大動脈弓が1例、肺動脈分枝狭窄(branch PS)が1例であった。先行治療は心房中隔欠損バルーン開大術が30例、大動脈弓再建+肺動脈バンディング手術が2例、左室トレーニングが1例であった。同時手術はVSD閉鎖が23例、大動脈弓再建が6例、AVSD repairが1件、重複大動脈弓切離が1例、肺動脈形成が2例であった。人工心肺時間は200 (128-360)分、心停止時間は96 (65-191)分であった。冠動脈形態は、Shaher分類の1が40例(71%)、その他が14例(25%)、分類不能が2例(3.6%)であった。術後の新大動脈弁機能および新大動脈基部のサイズ、肺動脈狭窄を心エコーで評価し検討を行った。【結果】平均観察期間は6.3±4.7年であった。早期死亡は2例で敗血症と肺高血圧発作で失った。遠隔死亡は2例で死因は明らかでなかった。累積生存率は5年・10年で93%であった。再介入は6例ありbranch PSに対するバルーン拡張術が3例、パッチ形成が1例、大動脈弁上狭窄解除術が2例であった。再介入回避率は5年・10年で89%であった。明らかな冠動脈イベントは認めず、心電図異常や壁運動異常も認めなかった。心エコーを術直後、初回評価、遠隔期評価で検討した。ARは、術直後にmild 5例、moderate 1例であったが、遠隔期にはmild 6例であった。SVASは術直後から認めたものが1例、初回評価で1例であり、いずれも再手術を行った。branch PSは術直後より3m/s以上の流速を認めたものが4例あり、いずれも再介入を行った。【結語】TGAに対するASO術の成績は良好であった。