第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション76(III-P76)
染色体異常・遺伝子異常 4

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:武田 充人(北海道大学病院 小児科)

[III-P76-02] 先天性中枢性低換気症候群を合併したCoA, VSD, PDAの1例

藤田 聖実, 古川 央樹, 宗村 純平, 丸尾 良浩 (滋賀医科大学医学部 小児科)

キーワード:先天性中枢性低換気症候群, 先天性心疾患, 遺伝子異常

【はじめに】中枢性低換気症候群(以下CCHS)は呼吸中枢の二酸化炭素に対する換気反応の低下もしくは欠如のために、主に睡眠時に低換気をきたす疾患であり、原因遺伝子として呼吸中枢の形成や自律神経系の分化や誘導に重要な役割を果たすPHOX2B遺伝子の異常が明らかにされている。不整脈の合併は知られているが先天性心疾患との合併の報告は稀である。今回、CCHSの合併をきたしたCoA, VSD, PDAの症例を経験したため報告する。【症例】在胎38週2日、3148gで当院にて出生。CoA, VSD, PDAと診断し、日齢1に外科施設に転院。arch repair施行予定であったが、頻回の無呼吸発作により抜管困難であったため基礎疾患の存在が疑われ、一期的根治術は断念し日齢6にbil. PABを施行。日齢13にPDA狭窄が進行したため日齢14にPDA stent留置。日齢17に抜管したが、翌日に無呼吸発作を繰り返したため再挿管。無呼吸発作の原因検索のため当院に転院となった。炭酸ガス換気応答試験の結果からCCHSを疑って遺伝子検査を提出し、PHOX2B遺伝子の27ポリアラニン伸長変異のヘテロ接合を認め、CCHSと確定診断した。外科施設と相談の結果心疾患の治療を優先することとなり、1歳5か月時にICR+arch repair、1歳7か月時に気管切開術を施行し在宅医療に移行した。【考察】CCHSは適切な呼吸管理を行い低酸素脳症を回避できれば発達予後は悪くない疾患であるが、本症例では先天性心疾患を合併したためにCCHSの診断に苦慮した。【結語】先天性心疾患を併発する先天性中枢性低換気症候群は稀であるが、原因不明の無呼吸発作を認める際には本疾患の可能性も念頭に置く必要がある。