[III-P76-04] 心房中隔欠損と僧帽弁逸脱兼閉鎖不全を認めたCoffin-Siris症候群の一例
キーワード:Coffin-Siris 症候群, 心房中隔欠損, 僧房弁逸脱
【背景】Coffin-Siris症候群は非常に稀な先天異常症候群であり、特徴的な顔貌、成長発達遅延を認め、第5指趾の末端と爪の無~低形成を特徴とする。合併症は様々であるが、先天性心疾患は30~35%にみられ、主なものとして心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存、ファロー四徴があるといわれている。今回、Coffin-Siris症候群に心房中隔欠損、三尖弁閉鎖不全、僧帽弁逸脱、僧帽弁閉鎖不全を合併した一例を経験したので報告する。【症例】11ヶ月時に近医で発達遅延と内斜視を指摘され中核病院に紹介された。発達についてはフォローアップと療育、調節性内斜視については矯正治療を受けていた。この際に染色体異常を疑われ、3歳1ヶ月のときに専門施設を紹介された。ここでCoffin-Siris症候群と臨床診断された(後に責任遺伝子は陰性)。3歳3ヶ月時にウイルス感染を契機に当院へ入院、身体所見で心雑音を聴取したため心臓超音波検査を行った。診断は心房中隔欠損、三尖弁閉鎖不全、僧帽弁逸脱、僧帽弁閉鎖不全であった。右室容量負荷が明らかで左室収縮末期に中隔の圧排が疑われること、僧帽弁逸脱は顕著で僧帽弁閉鎖不全が中等度みられること、全身疾患が合併していること等から肺高血圧の進行が懸念され早期の治療が考慮されると判断し心臓カテーテル検査を施行した。RVEDV=64ml(191%)、LVEDV=46ml(140%)、mPA(s/d/m)=28/13/19mmHgであった。専門施設で症例提示を行い手術適応ありと判断されたが、アデノイド肥大による上気道閉塞が顕著であり、術後の影響を考慮して他院でアデノイドの手術を先行することとなった。現在、手術待機中である。【考察】Coffin-Siris症候群の予後はてんかんと心疾患によるとされている。児は同症候群が疑われたにも関わらず、心疾患の除外は行われていなかった。先天異常症候群が疑われ、特に心疾患が予後規定因子であるとされる場合には、積極的な心疾患の除外が必要と考えた。