第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション76(III-P76)
染色体異常・遺伝子異常 4

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:武田 充人(北海道大学病院 小児科)

[III-P76-05] 積極的に左右短絡疾患の治療を行うことで良好な臨床経過を得られたFLNA遺伝子変異の2例

澁谷 悠馬1, 金 基成1, 野木森 宜嗣1, 佐藤 一寿2, 杉山 隆朗1, 田村 義輝1, 加藤 昭生1, 若宮 卓也1, 小野 晋1, 柳 貞光1, 上田 秀明1 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.倉敷中央病院 小児科)

Keywords:FLNA遺伝子, びまん性肺障害, 左右短絡

【背景】FLNA遺伝子変異は脳室周囲異所性灰白質(PVNH)を始めとして、びまん性肺障害(DLD)、動脈管開存症(PDA)、大動脈拡張などの多彩な病態を呈する。中でもDLDは重症であり、乳児期早期から長期の呼吸管理を要する報告が散見されるが、心疾患が病態に与える影響は症例によって異なると考えられる。今回、呼吸管理に難渋したが、積極的に左右短絡疾患を治療した結果、呼吸状態の改善が得られたFLNA遺伝子変異の2例を経験したので報告する。【症例1】在胎36週3日、体重2158gで出生した女児。出生後から肺高血圧(PH)が改善せず、O2投与とsildenafilの内服を行なっていた。生後2ヶ月時の心エコーではPDAは1-2mmと太くはなかったが、心室中隔(IVS)の圧排とPDAの右左シャントを認め、強いPHが示唆された。酸素負荷下のエコーではPDAは左右シャントに変化し、IVSの圧排も改善した。胸部CTではDLDを認めており、生後3ヶ月より挿管管理を要したため、生後4ヶ月時に経皮的PDA閉鎖術を施行し、術後はPHも改善した。その後は呼吸器を離脱し、生後8ヶ月時に在宅酸素のみで退院した。エクソーム解析でFLNA遺伝子異常が検出された。【症例2】在胎37週6日、体重2520gで出生した女児。生後3ヶ月時に啼泣時の酸素化不良を指摘され当院に入院した。心エコーではそれぞれ全て左右シャントの径3mmの心室中隔欠損(VSD)及び径3mmの卵円孔開存(PFO)、径1mmのPDAを認めた。心臓カテーテル検査では平均肺動脈圧35mmHgで左右心室は等圧だった。胸部CTではDLDを認めており、入院後から高濃度酸素投与下での人工呼吸器管理を要したため、生後6ヶ月半に経皮的PDA閉鎖術、引き続いてVSD閉鎖術を施行した。その結果、生後9ヶ月時点で人工呼吸器を離脱できている。エクソーム解析でde novoFLNA遺伝子異常が検出された。【結語】FLNA遺伝子変異に呼吸障害を伴う場合、積極的に左右短絡疾患の治療を行うことで臨床症状が改善する可能性がある。