[III-P77-01] 胎児診断されたEbstein奇形および三尖弁異形成の胎児・新生児期の経過
キーワード:Ebstein奇形, 三尖弁異形成, 胎児診断
【背景】Ebstein奇形(EA)、三尖弁異形成(TVD)は、重症度、胎児・新生児期の経過もさまざまで、娩出時期、治療方針の決定がむずかしい。【対象】2009~2018年に当院で胎児診断し、分娩したEA9例、TVD4例について検討した。【結果】TVDの3例は、出生前も後も、肺動脈は順行性血流のみで経過良好であったが、1例は、32週まではTRPG>30mmHg、PRもほぼなかったが、34週にcircular shunt、胎児水腫となり、出生後、主肺動脈結紮術を施行したが、救命できなかった。EAのうち4例は、肺動脈弁閉鎖で、21トリソミーの1例以外の3例は、出生後もlipo PGE1投与で状態は安定し、新生児期の手術介入は必要なかった。肺動脈弁閉鎖でない5例のうち2例は、出生後、肺動脈の順行性血流が認められ、胎児期全般にわたり、TRPG>30mmHg、Celermajer index<1.0、CTAR<50%であった。残りの3例は、症例(1)26週、(2)31週、(3)32週でcircular shuntとなり、(1)は28週に胎児水腫、32週に胎児死亡、(2)は35週に胎児死亡、(3)は33週で2:1伝導のAFとなり、帝切で出生後、5時間で死亡した。3症例のTRPGは18.7±7.8mmHg、Celermajer indexは1.3±0.3、CTARは55.6±3.6%、LV Tei indexは0.86±0.25であった。【考察】TVDは一般的に予後良好だが、circular shuntになる症例もあり、右室の大きさが災いして、主肺動脈結紮術による改善が得られないことがある。肺動脈弁閉鎖を伴うEAは、21トリソミー以外は、新生児期の手術介入は避けられた。肺動脈弁閉鎖のないEAでcircular shuntになる症例は、TRPGが低く、Celermajer indexが高い傾向にあった。胎児水腫になる前に胎児死亡する症例もあり、注意が必要である。近年、主肺動脈結紮術を先に行う2段階Starnes手術で救命できる症例が増加しているが、33週未満の報告はなく、娩出可能時期については更に検討が必要である。また、出生後短時間で死亡する症例もあり、出生直後の手術介入が必要である。