[III-P77-03] 胎児診断により出生直後の左腕頭動脈肺動脈起始から左腕頭動脈孤立症への経過を観察できた1例
キーワード:左腕頭動脈肺動脈起始, 左腕頭動脈肺動脈孤立症, 胎児診断
左腕頭動脈肺動脈起始は非常に稀な疾患で、左腕頭動脈が左動脈管を介し肺動脈から起始している。出生後は左動脈管の閉鎖にともない、左腕頭動脈孤立症となる。今回胎児診断により出生後に動脈管が閉鎖し、左腕頭動脈肺動脈起始からに左腕頭動脈孤立症に至る経過を確認しえた症例を経験したの報告する。(症例)36歳 G1 P0 妊娠経過は順調で里帰り分娩のため、妊娠32週に当院を初診した。初診時の超音波検査にて右大動脈弓と右動脈管を認めた。また右動脈管以外に左右肺動脈分岐部付近から起始する、もう1本の血管を認めた。この血管は頭側に走行した後、左上肢に向けて分岐(左鎖骨下動脈)した後、さらに頸部を走行し頭部に入った(左内頸動脈)。以上から左腕頭動脈肺動脈起始と診断した。他院にても心エコー精査を行い同様の結果であった。児は38週2日骨盤位のため予定帝王切開にて出生し、造影CTにて胎児診断が確認された。また超音波検査にて左内頸動脈は出生直後は順方向に流れていたが、その後左動脈管の閉鎖に伴い逆方向に変化した。最終的に動脈管は完全に閉鎖し左腕頭動脈孤立症となった。その後も左上肢の循環は保たれており退院となった。染色体は正常核型で、22q11.2の欠失も認めなかった。(まとめ)胎児診断により、出生後の左腕頭動脈肺動脈起始から左腕頭動脈孤立症への過程およびそれに伴う循環動態の変化を観察し得た。