[III-P78-03] ファロー四徴症、総肺静脈還流異常症を合併した先天性左気管支閉鎖症の一例
キーワード:先天性気管支閉鎖, ファロー四徴症, 胎児MRI
【背景】先天性気管支閉鎖症は非常に稀で、出生後に重篤な呼吸障害を呈する場合がある。複雑心奇形に合併した先天性気管支閉鎖症に対して、ECMO装着下のカテーテル治療を含めた治療経験を報告する。【症例】胎内で左先天性肺気道奇形(CPAM)および複雑心奇形(TOF、TAPVCIb)を指摘された。胎児MRIで在胎27週には左肺過膨張およびT2強調で高信号のためCPAMを考えたが、在胎34週の胎児MRIでは肺容量の左右差および高信号の改善を認めたためCPAMの自然退縮もしくは正常と判断した。出生後の呼吸確立が見込めると判断し、在胎37週1日に経膣分娩にて、体重2172gで出生したが、予想に反し呼吸は確立せず直ちに挿管となった。HFO管理、NOやPGI2投与を行うも重度チアノーゼから改善せず、出生3時間でVA-ECMOを導入した。導入後の気管支鏡検査で左気管支下葉枝の完全閉鎖を確認した。片肺換気でのECMO離脱は困難と予想し、合併する心形態異常((肺動脈弁狭窄、垂直静脈の狭窄)に対するカテーテル治療を先行し肺血流を可及的に確保する方針とした。日齢3にECMO装着のままカテーテル室に移動し、肺動脈弁に対する肺動脈弁バルーン拡張術(TMP PED™ 6mm)を行い、続いて垂直静脈-上大静脈還流部の狭窄に対し腎血管用ステント(Express™ SD 6mm×14mm)を留置した。頸部よりECMOが挿入されていたため右大腿静脈よりアプローチしたが垂直静脈への屈曲が強く挿入に難渋した。ステント留置中に大量の気管出血を生じたがECMO装着中であり、バイタルは安定したまま治療を完遂できた。出血の改善を待ち日齢9にECMOを離脱し、日齢14にICU退室、日齢44に抜管した。【結語】胎内でCPAMを疑っていたが出生後に気管支閉鎖と診断した。先天性気管支閉鎖症の画像所見は経時的に変化する場合があり、注意が必要である。呼吸が確立せずECMOを導入したが、ECMO下に安定してカテーテル治療を行うことができた。