[III-P78-04] 総肺静脈還流異常に対する修復術を先行させ心内修復術に至ったLeft isomerism、DORV、PS、TAPVC(2b)の1例
Keywords:総肺静脈還流異常, 両大血管右室起始, staged repair
【背景】TAPVCにDORV、PSを伴った場合、PVOとPSの程度により臨床所見が多彩となるため、正確な形態診断に基づいた管理と術式決定が重要となる。今回、left isomerismに伴い特異な形態を有したTAPVC(2b)とDORV、PSの合併に対し、TAPVC修復術を先行させ心内修復術を行い、良好な経過を得た1例を経験した。
【症例】1歳6ヶ月男児。39週5日、3005gで出生。胎児エコーでTOF、TAPVC(2b)と診断。出生後エコーで同診断。右肺静脈は上・中・下3本が直接右房へ、左肺静脈は上・下2本が共通腔を形成し右房へ還流していた。PVOおよび高・低肺血流の所見なく経過したため、体重増加を待ち、生後4ヶ月で術前心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 48% of normalと低形成左室あり。mPA-RV圧較差60mmHgと重度PSあり。左室発育を目的にTAPVC repair、肺血流保持を目的にcentral shuntを施行。術中所見よりTOFからDORV (subaortic VSD)、PSに診断変更、両側左心耳形態よりleft isomerismと診断。術後利尿剤内服。生後7ヶ月時に心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 133% of normalと左室は十分に発育していた。mPA-RV圧較差44mmHg、PA平均圧25mmHg、Rp 1.7Um2、PVOなし。心内修復術の適応があると判断し、生後10ヶ月時にIVR、RVOTO resectionを施行。術後経過良好であり、1歳2ヶ月時に利尿剤内服終了。1歳4ヶ月時に心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 127% of normalと軽度拡大。肺動脈弁上に圧較差21mmHgのPS残存。PA平均圧24mmHg、Rp 1.9Um2、PVOなし。無治療無制限で、現在まで経過良好である。なお、本児は大動脈四尖弁と左冠尖低形成があり、左冠動脈口閉鎖による虚血の可能性に注意を要する。
【結論】TAPVCとDORV、PSの合併例で、PVOがなく低形成左室がある場合、心内修復術に先行して姑息的TAPVC修復術を行うことの有用性が示唆された。
【症例】1歳6ヶ月男児。39週5日、3005gで出生。胎児エコーでTOF、TAPVC(2b)と診断。出生後エコーで同診断。右肺静脈は上・中・下3本が直接右房へ、左肺静脈は上・下2本が共通腔を形成し右房へ還流していた。PVOおよび高・低肺血流の所見なく経過したため、体重増加を待ち、生後4ヶ月で術前心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 48% of normalと低形成左室あり。mPA-RV圧較差60mmHgと重度PSあり。左室発育を目的にTAPVC repair、肺血流保持を目的にcentral shuntを施行。術中所見よりTOFからDORV (subaortic VSD)、PSに診断変更、両側左心耳形態よりleft isomerismと診断。術後利尿剤内服。生後7ヶ月時に心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 133% of normalと左室は十分に発育していた。mPA-RV圧較差44mmHg、PA平均圧25mmHg、Rp 1.7Um2、PVOなし。心内修復術の適応があると判断し、生後10ヶ月時にIVR、RVOTO resectionを施行。術後経過良好であり、1歳2ヶ月時に利尿剤内服終了。1歳4ヶ月時に心臓カテーテル検査を施行。LVEDV 127% of normalと軽度拡大。肺動脈弁上に圧較差21mmHgのPS残存。PA平均圧24mmHg、Rp 1.9Um2、PVOなし。無治療無制限で、現在まで経過良好である。なお、本児は大動脈四尖弁と左冠尖低形成があり、左冠動脈口閉鎖による虚血の可能性に注意を要する。
【結論】TAPVCとDORV、PSの合併例で、PVOがなく低形成左室がある場合、心内修復術に先行して姑息的TAPVC修復術を行うことの有用性が示唆された。