第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

カテーテル治療

ポスターセッション79(III-P79)
カテーテル治療 5

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:高橋 信(岩手医科大学附属病院循環器医療センター 循環器小児科)

[III-P79-01] 経皮的心房中隔欠損症閉鎖術後に体重増加を得られた症例の検討

籠手田 雄介1, 吉本 裕良1, 高瀬 隆太1, 前田 靖人1, 桑原 浩徳1, 井上 忠1, 庄嶋 賢弘2, 財満 康之2, 須田 憲治1 (1.久留米大学医学部 小児科学講座, 2.久留米大学 外科科学講座)

キーワード:心房中隔欠損症, 心不全, 体重増加不良

【背景】心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)の小児症例では、経皮的ASD閉鎖術(Transcatheter closure of ASD:TC-ASD)後に急激に体重増加する症例を経験する。この体重増加は、心不全の解除によるものと考えられるが、治療前の潜在的心不全を評価する方法は知られていない。【目的】今回、TC-ASD後に体重増加を得られた症例と、得られなかった症例を比較検討し、潜在的心不全の検討を行う。【方法】当院でTC-ASDを受けた、体重20kg未満の患者で、術後3か月で体重測定をした41例を対象。TC-ASD後3か月の体重が+0.4SD以上の体重増加を得られた症例を体重増加群、それ以外を非体重増加群に分け、患者属性、ASD径、Qp/Qs、NT-proBNP値などを検討した。また、TC-ASD後の体重増加と最も相関する項目を検討した。【結果】対象患者は、年齢5.3歳(1.7~7.7)、身長108cm(76.9~120)、体重17.1kg(8.7~19.3)、ASD径13.8mm(7.7~27)、ASD径/身長13.8(7.3~23.2)、Qp/Qs2.3(1.4~4.5)、NT-proBNP177.4(26.7~569.6)、体重増加は、+0.2SD(-0.1SD~+0.9SD)であった。体重増加群は10例で、その増加は、+1.2~2.5kgであった。両群で、患者属性、Qp/Qs、NT-proBNP値に差はなく、ASD径(P=0.0349)、ASD/体重(P=0.0451)、ASD/身長(P=0.0202)は、体重増加群で有意に大きかった。また、体重増加と、最も相関関係が強かったのは、ASD/身長であった(P=0.0037)。体重増加が-0.1SDが2例、±0SDが5例で、この7例を除く34例(83%)が+0.1SD以上の体重増加を呈しており、ASD/身長は15以上であった。程度の差はあれ、多くのASDで体重増加不良が小児期に生じている可能性が示され、早期治療介入が必要な症例があると考えられた。【結論】体重20kg未満の小児症例でTC-ASD後に体重増加を得られた症例は、83%存在した。NT-proBNP値、Qp/Qsなど、既存の心不全の指標が、TC-ASD後の体重増加と相関を認めなかった。