[III-P80-01] 川崎病発熱時心電図を契機に診断されたBrugada症候群 genotype(BrS1)の1例
キーワード:Brugada症候群, 発熱時心電図, 川崎病
【背景】
Brugada症候群における発熱時の心電図顕性化および心停止イベントリスク上昇はガイドラインでも警告されているが、小児科領域においては周知されているとは言い難い。我々は川崎病の発熱時にtype 1 (コブド型)Brugada心電図を呈した1女児例を経験したので報告する。
【症例】
児は3か月時に川崎病に罹患したが合併症無く経過した。4歳時に再度川崎病を発症し、発熱中の心電図で右側胸部誘導に典型的コブド型ST上昇を認めた。経過中不整脈はなく、左冠動脈Seg7の一過性拡大を生じたが退縮した。家族歴で、兄が1歳で有熱時突然死しており、剖検では心疾患を含む原因を特定されなかった。また、父親に失神の既往があり、type 2 (サドルバック型)Brugada心電図を認めた。希望により遺伝子解析を施行し、児と父親に同一のSCN5A変異[c.2677C>T, p.R893C]を同定し、Brugada症候群(BrS1)と診断した。両者とも厳重に経過観察中である。
【考察】
Brugada症候群におけるイベント発生要因として、夜間、就寝、食後に加え、発熱が挙げられている。発熱時のみtype 1 波形を示すBrugada症候群において、無症候例でも突然死が年間0.9%発生し、有症候例でも発熱時にVFやICD作動を来すことがあると報告されている。そのため日本循環器学会遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)では、Brugada症候群診断例および有熱時Brugada波形出現例に対して、発熱時には速やかな解熱剤の使用が推奨されている。
【結語】
突然死や失神の家族歴がある患児においては、発熱時type 1 Brugada心電図を捕捉することによる突然死リスク管理の可能性が示唆され、川崎病は有熱時心電図を記録する好機となり得る。
Brugada症候群における発熱時の心電図顕性化および心停止イベントリスク上昇はガイドラインでも警告されているが、小児科領域においては周知されているとは言い難い。我々は川崎病の発熱時にtype 1 (コブド型)Brugada心電図を呈した1女児例を経験したので報告する。
【症例】
児は3か月時に川崎病に罹患したが合併症無く経過した。4歳時に再度川崎病を発症し、発熱中の心電図で右側胸部誘導に典型的コブド型ST上昇を認めた。経過中不整脈はなく、左冠動脈Seg7の一過性拡大を生じたが退縮した。家族歴で、兄が1歳で有熱時突然死しており、剖検では心疾患を含む原因を特定されなかった。また、父親に失神の既往があり、type 2 (サドルバック型)Brugada心電図を認めた。希望により遺伝子解析を施行し、児と父親に同一のSCN5A変異[c.2677C>T, p.R893C]を同定し、Brugada症候群(BrS1)と診断した。両者とも厳重に経過観察中である。
【考察】
Brugada症候群におけるイベント発生要因として、夜間、就寝、食後に加え、発熱が挙げられている。発熱時のみtype 1 波形を示すBrugada症候群において、無症候例でも突然死が年間0.9%発生し、有症候例でも発熱時にVFやICD作動を来すことがあると報告されている。そのため日本循環器学会遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)では、Brugada症候群診断例および有熱時Brugada波形出現例に対して、発熱時には速やかな解熱剤の使用が推奨されている。
【結語】
突然死や失神の家族歴がある患児においては、発熱時type 1 Brugada心電図を捕捉することによる突然死リスク管理の可能性が示唆され、川崎病は有熱時心電図を記録する好機となり得る。