[III-P80-02] 救急搬送中にモニター心電図で非持続性心室頻拍をみとめBrugada症候群と診断された1例
Keywords:Brugada症候群, 有熱時痙攣, 心電図
【背景】有熱時痙攣発作は救急外来で頻繁に遭遇する。その中でも熱性けいれんが圧倒的に多く、来院時に状態が安定している場合は、検査を施行せず経過観察とする事もしばしばある。今回、有熱時痙攣で搬送中に非持続性心室頻拍(NSVT)を認め、精査の結果Brugada症候群と診断した1例を経験したので報告する。【症例】7才男児。幼児期より有熱時痙攣を繰り返しており、前医にて脳波検査などを施行され異常を認めず熱性けいれんとして経過観察されていた。7才時に有熱時痙攣で搬送中の救急車内で10秒程度のNSVTを認めた。来院時の心電図で心室期外収縮が頻発しており、入院経過観察としたところ、入院中のモニター心電図でもNSVTを認めた。特発性心室頻拍と考えられ、基礎的疾患の除外目的に当院に紹介となった。心臓MRI・冠動脈CT・ATP負荷試験・イソプロテレノール負荷試験では異常所見を認めなかった。ピルジカイニド負荷試験を行った際に、V1誘導でJ点上昇を認め、右室流出路起源の心室期外収縮が散発するようになった。明らかなCoved型の心電図変化を認め、Brugada症候群と診断した。【考察】小児熱性けいれんガイドラインにおいて、有熱時の痙攣に対しての心電図検査は特に触れられてはいない。また、小児のけいれんの救急搬送時にはほとんど心電図モニターが装着されていない。Brugada症候群の中には発熱時のみBrugada心電図を示す例があることは知られている。本症例の他にも熱性けいれんと診断されていたが、後に不整脈が原因であった症例の報告は散見されている。繰り返す有熱時痙攣の診療では心電図検査など不整脈を鑑別に上げたアプローチも肝要であると考えられた。【結語】有熱時痙攣時で救急搬送中のモニター心電図からBrugada症候群の診断へと繋がった1例を経験した。小児のけいれんは一般的な疾患として見過ごされやすいが、繰り返す痙攣では不整脈の可能性を鑑別した上で診療を行うことも大切である。