[III-P80-05] フレカイニドとナドロールで頻拍抑制し、スマートウォッチでの心拍自己管理を行っているカテコラミン誘発性多型心室頻拍(CPVT)の1例
キーワード:カテコラミン誘発性多型心室頻拍, ナドロール, スマートウォッチ
【背景】CPVTは、運動や情動の変化で二方向性あるいは多形性の心室頻拍が誘発され、心室細動に移行して失神、突然死を起こす稀な致死的不整脈である。学校で心肺停止に陥り、CPVTと診断し、フレカイニドとナドロールで頻拍抑制を行い、スマートウォッチでの心拍数管理を行っている症例を経験したので報告する。【症例】7歳男子で、生来健康であり、学校心電図で異常を指摘された事はなく、家族歴に心疾患、突然死、失神の既往はなかった。体育の授業中、プールに沈んでいるところを発見され、教師により直ちに心肺蘇生が開始され、救急要請がなされた。救急隊到着時に心室頻拍(VT)・心室細動(VF)を認め、AEDにて除細動が行われ、洞調律復帰後にドクターヘリで当院へ搬送された。当院到着時も洞調律であったが、点滴確保や口腔吸引等の刺激を与えると、多源性の心室性期外収縮(PVC)やVTを認めた。低体温療法を開始したところ、二方向性心室頻拍が認められ、CPVTを疑い、低体温管理を中止し平温管理にとどめた。アテノロール内服開始2日後より心室性期外収縮を認めなくなった。その後、運動負荷試験と内服薬調整を行い、最終的にナドロール2mg/kg/日とフレカイニド5mg/kg/日の内服により、運動負荷試験を行っても心拍数は127/分までしか上昇せず、PVCも認められなくなった。内服薬増量の過程で運動負荷試験にて心拍数130/分を超えると、PVCが誘発されていたため、スマートウォッチを持たせ心拍数の確認を日常生活の中で行うように指導し退院とした。【考察】ナドロールは他のβ遮断薬より心拍数上昇を抑えるとの報告があり、CPVTに有効であるとの報告がなされており、フレカイニドとナドロールで良好な頻拍抑制を行うことができた。さらに運動負荷試験で不整脈が誘発される心拍数を確認し、スマートウォッチ等のデバイスにより心拍数の自己管理を行うことは、外来管理していく上で有用と考えられた。