[III-P80-06] カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)において治療の最終目標は、何をめざすべきか。
キーワード:カテコラミン誘発性多形性心室頻拍, 治療, 治療目標
【背景および目的】CPVTは、身体的、精神的ストレスにより多形性心室性頻拍及び心室細動をきたし失神や突然死の原因となる予後が不良の疾患である。治療目標としては内服薬によるVTや失神、突然死の予防であるが、治療に難渋する症例も多い。CPVT患者2症例で異なった治療を施行し、その症状や不整脈の経過をみることができたので、それらをもとにCPVTの今後の治療方針を検討する。【症例1】14歳女児。6歳時に走行時に失神。精査にて、安静時心電図で徐脈、ホルター心電図で2方向性多形性の心室頻拍が認められ、CPVTと診断した。遺伝子検査にてRyR2の変異が認められ、カルベジロ―ルの内服を開始。それ以後失神は出現しなくなった。しかし、ホルター心電図でPVC3連発、トレッドミルで心拍数が100を超えると2連発以上が頻発。カルベジロ―ル増量するが改善ないため、フレカイニドを追加した。以後変化はないが、失神が起こらなくなったため経過観察中である。【症例2】13歳男児。学校心電図検診でPVCが認められた。失神歴はなし、家族歴なし。精査目的に当院を受診。ホルター心電図で二方向性のPVCが認められた。トレッドミル検査で心拍数160程度のVTが誘発されCPVTと診断。ナドロールを開始したが、PVCと運動時のVTの頻度は変わりなく、フレカイニドを追加した。その後も失神の既往はないが心拍数120程度のVTは出現している。遺伝子検索中。【考察】2症例とも不整脈のコントロールは不良であるが治療開始後失神はない。CPVTの治療は運動負荷で完全抑制を目標にするべきといわれている。しかし、本症例のように失神歴の既往がない、あるいは治療により失神が認められなくなった症例において、治療効果の判定が難しく、何を基準に治療を強めていくか判断が困難である。【結論】無症状のCPVTにおいて、治療の最終目標をどこにするか、今後も症例を集めさらなる検討が必要と思われた。