[III-P82-02] Ross手術後19年で自己弁温存大動脈基部置換術, 肺動脈弁置換術, 三尖弁輪縫縮術を施行した1例
Keywords:Ross手術, 自己弁温存大動脈基部置換術, 肺動脈弁置換術
【背景】
Ross手術後の自己弁温存大動脈基部置換術は感染, 抗凝固療法の点から有用な術式である. しかし再開胸手技となることや, 肺動脈弁への同時介入例も多く, 大動脈遮断時間が計算できるBentall手術が選択されることも多い.
今回Ross手術後に自己弁温存大動脈基部置換術, 肺動脈弁置換術(PVR)ならびに三尖弁輪縫縮術(TAP)を同時に施行した症例を経験したため報告する.
【症例と手術手技】
症例は28歳男性. BSA 2.23. 9歳時に他院でRoss手術を施行. ARの増悪傾向を認め当科紹介.術前心エコーにてEF 55 %, 弁中心から生じるsevere AR,とsevere PR, mild TRを認め, 右室拡大, 三尖弁輪拡大(50.3 mm)も認めた. 4DCTにて大動脈基部は57 mm, Pulmonary autograftは3弁尖とも逸脱を認めたが, 可動性は良好であった.
手術は胸骨再正中切開, 全体的に高度癒着を認めたが, autograft周囲の癒着は比較的looseであった. 弁尖は3尖とも逸脱があるものの可動性は良好. 28 mm Valsalva Graftを用いた基部置換の後, 3弁尖にcentral plicationを加え, effective height 8mm以上を確保した。
肺動脈弁は高度に石灰化しており, 30mm Valsalva Graftと生体弁(Inspiris 27 mm)を用いてPVR, Cosgrove 30 mmを用いたTAPを施行し手術終了.
【結果】
術後AR, TRはいずれもmild, EF 55 %と心機能は保たれていた. mild PSを認めるもののPRはなく, 右室径は縮小. 17PODに独歩退院となった。
【結語】
本症例のように, 弁尖の逸脱が主体で形成可能な性状である場合にはValve-sparing operationを積極的に検討しても良いと考える.
Ross手術後の自己弁温存大動脈基部置換術は感染, 抗凝固療法の点から有用な術式である. しかし再開胸手技となることや, 肺動脈弁への同時介入例も多く, 大動脈遮断時間が計算できるBentall手術が選択されることも多い.
今回Ross手術後に自己弁温存大動脈基部置換術, 肺動脈弁置換術(PVR)ならびに三尖弁輪縫縮術(TAP)を同時に施行した症例を経験したため報告する.
【症例と手術手技】
症例は28歳男性. BSA 2.23. 9歳時に他院でRoss手術を施行. ARの増悪傾向を認め当科紹介.術前心エコーにてEF 55 %, 弁中心から生じるsevere AR,とsevere PR, mild TRを認め, 右室拡大, 三尖弁輪拡大(50.3 mm)も認めた. 4DCTにて大動脈基部は57 mm, Pulmonary autograftは3弁尖とも逸脱を認めたが, 可動性は良好であった.
手術は胸骨再正中切開, 全体的に高度癒着を認めたが, autograft周囲の癒着は比較的looseであった. 弁尖は3尖とも逸脱があるものの可動性は良好. 28 mm Valsalva Graftを用いた基部置換の後, 3弁尖にcentral plicationを加え, effective height 8mm以上を確保した。
肺動脈弁は高度に石灰化しており, 30mm Valsalva Graftと生体弁(Inspiris 27 mm)を用いてPVR, Cosgrove 30 mmを用いたTAPを施行し手術終了.
【結果】
術後AR, TRはいずれもmild, EF 55 %と心機能は保たれていた. mild PSを認めるもののPRはなく, 右室径は縮小. 17PODに独歩退院となった。
【結語】
本症例のように, 弁尖の逸脱が主体で形成可能な性状である場合にはValve-sparing operationを積極的に検討しても良いと考える.