第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション83(III-P83)
成人先天性心疾患 6

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:西畠 信(総合病院鹿児島生協病院 小児科)

[III-P83-01] 壮年期に診断された総肺静脈還流異常症の2症例

田中 裕治 (鹿児島医療センター 小児科)

キーワード:総肺静脈還流異常症, 成人先天性心疾患, 肺静脈狭窄

壮年期に診断されたTAPVD 2例を経験した。2名とも1a型で、共にEisenmengerを疑われて当院循環器内科紹介となり、診断のきっかけはエコー技師から小児科へのコンサルトであった。症例1:47歳男性 幼少時からASDと診断されていた。20歳心カテを受けASD、血管異常と言われている。40歳 健康診断で心電図異常を言われ、再度心カテを受けるも様子観察。47歳で軽度疲労感あり近医内科受診しASD+PH疑いで当院循内紹介。SpO2 92%、Hb 16.1、BNP 17.5、Xp CTR 59.6%、UCG ASD 40mm、LVDd 34mm、TR Vmax 3.7m/s、PG=54.8mmHg、エコー技師より連続血流が見えると小児科コンサルトとなりTAPVD1aと診断。造影CTにて垂直静脈がaAoとMPAに挟まれ、著明な狭窄後拡張を来していた。当院心カテ結果Qp/Qs=3.94、PA 54/16/33、PAWP 19、共通腔→無名静脈引き抜き圧較差13mmHg。根治手術が検討されたが本人の希望なく経過観察となった。症例2:59歳女性 幼少期に心疾患を指摘されたが詳細不明。2経産。健診のレントゲンで異常を言われていたが、軽度の労作時息切れのみのため放置。咳嗽のため近医受診した際にSpO2 88%を指摘され、ASD+PH疑いで当院循内紹介。SpO2 90%、Hb 14.7、BNP 54、Xp CTR 61.7%、UCG ASD 24mm、IASはLA側へ凸、LVDd 35mm、TR Vmax 3.2m/s、PG=41mmHg、小児科コンサルトとなりTAPVD1aの診断。造影CTにて垂直静脈はaAoの背側を上行し狭窄となっていた。根治手術検討中である。TAPVDは新生児の病気との思い込みからか、見逃されている例が少ないながら存在している。2症例とも軽度PHを伴っていたが、大きなASDが存在し左心血流が保たれていたため症状は軽度であった。現時点では手術待機中ながら、今後、肺高血圧の増悪や右左シャントによる脳梗塞などが懸念され慎重な管理が必要である。診断には循環器内科医、エコー技師と小児循環器医の先天性疾患の情報共有と、いつでも相談できる環境が大切である。