第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション84(III-P84)
川崎病・冠動脈・血管 6

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:曽我 恭司(湘南東部総合病院)

[III-P84-03] 冠攣縮性狭心症を合併したDuchenne型筋ジストロフィーの1例

井手 水紀1,2, 鍵山 慶之1,2, 井上 忠2, 家村 素史3, 須田 憲治2 (1.聖マリア病院 小児循環器内科, 2.久留米大学病院 小児科)

Keywords:冠攣縮性狭心症, Duchenne型筋ジストロフィー , アセチルコリン負荷

冠攣縮性狭心症 (CSA) は冠攣縮により生じる狭心症で、小児期発症は極めて稀である。Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) の心合併症としては心筋症などがあるがCSAの合併報告はない。10歳男児、5歳時に他院で遺伝子検査によってDMDと診断。受診3日前より朝の起床時から昼頃まで続く胸痛が出現し、連日午前中の胸痛が持続し当院を受診した。受診時は胸痛消失しており、12誘導心電図検査では虚血性変化や不整脈は認めず心エコー図検査で局所壁運動低下や心筋症・心筋炎を疑う所見は認めなかった。血液検査で高感度トロポニンT 1.30pg/mLとDMDの従来報告と比較して著しく高値であった。冠動脈CTで冠動脈の器質的狭窄は否定的であり、冠攣縮性狭心症もしくは不整脈を念頭に入院しニコランジルの持続静注開始。入院当日夜間に胸痛が出現。その際不整脈はなく心電図で有意変化なかったもののニトログリセリン舌下で胸痛は消失した。入院後経時的にトロポニン値は低下したため胸痛と冠攣縮性狭心症の関連を強く疑った。過換気負荷試験では発作誘発はできず、運動負荷試験は困難であるためニコランジル中止の上で冠動脈造影およびアセチルコリン負荷を施行。左冠動脈に100μgの負荷を行ったところ胸痛とV3-V6誘導でのST上昇が出現、冠動脈造影では負荷前と比較し冠動脈はびまん性に狭小化したが90%以上の狭窄病変は認めなかった。造影所見は完全ではないものの臨床的に冠攣縮性狭心症と診断し、ベニジピンの内服を開始。退院後に施行した心臓MRIでは側壁領域に淡い遅延造影あるものの心機能は異常なく現在胸部症状なく経過中である。既存の報告はないもののDMDではカルシウムハンドリングの異常や筋内の血管拡張機能障害があると考えられており、CSAの潜在的な危険因子であることは否定できない。DMDとCSAの関連に関して今後の検討が望まれる。