第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション87(III-P87)
川崎病・冠動脈・血管 9

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:関 満(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)

[III-P87-01] 急性心筋炎を疑ったが,冠動脈狭窄による急性心筋梗塞であった14歳男子

坂本 航, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター 小児科)

Keywords:心筋梗塞, 心筋炎, 冠動脈狭窄

【はじめに】基礎疾患のない小児の急性心筋梗塞の報告は稀である.急性心筋炎を疑ったが,冠動脈狭窄による急性心筋梗塞であった中学生を経験した.
【症例】14歳男子,身長155cm,体重48kg,BMI 20と体格良好で ,発症直前まで運動部で活動していた.数日前から感冒症状があり,入院当日水泳授業中に意識消失・転倒して当院へ救急搬送された.既往歴は気管支喘息のみで, 学校健診での異常指摘や川崎病既往はなかった.家族性高脂血症や突然死の家族歴もなかった.救急搬送中,完全房室ブロックを認めたが,初療時は洞調律に復帰し,意識清明であった.その後心室細動発作を反復した.心エコーでは心室壁運動は維持され,冠動脈起始部に異常を認めなかった.先行感冒症状,経時的・多彩な不整脈,心筋トロポニンI高値等から急性心筋炎を鑑別の第一に挙げ,心筋安静のために体外式膜型人工心肺(ECMO)を導入した.ECMO中に心室細動発作は再発せず,心収縮能も速やかに改善し,第5病日にECMOを離脱した.意識清明,トイレ歩行可,経口摂取可であった.冠動脈・心機能・心筋性状評価のため第10病日に心臓MRI予定であったが,その前日に再度心室細動を反復して管理困難となり,再度ECMOを導入した.心電図ST-Tの変動が大きく,coronary eventを考慮して ECMO下に緊急冠動脈造影を行った.冠動脈三枝は器質的に狭窄し,心エコーで鮮明・正常に観察された左主幹部は90%狭窄であった.急性心筋梗塞と診断し,冠動脈バイパス手術目的に搬送となった.
【考察】急性心筋炎の診断には心筋梗塞の除外が必要である.両者は治療法が根本的に異なる.心臓超音波では冠動脈疾患は否定できない.急性心筋炎を疑う症例では,生来健康とされる小児であっても冠動脈疾患の除外が必要であり,病初期に冠動脈CTあるいは冠動脈造影を施行すべきと考えられた.