[III-P87-05] 川崎病急性期に著明な血小板減少をきたしたカポジ型血管内皮腫の乳児例
Keywords:川崎病, 血小板減少, 冠動脈瘤
【背景】カポジ型血管内皮腫(KHE)はKasabach-Merritt syndrome(KMS)を合併する血管腫である。KMSが発症すると著明な血小板減少を認め、出血や感染、多臓器不全などで死亡率は12-30%と報告されている。KMSを合併した川崎病の報告はなく、今回、急性期川崎病の解熱期に冠動脈瘤(CAL)と著明な血小板減少を認め、診断に難渋した症例を経験したので、報告する。【症例】生後5カ月男児。γグロブリン(IVIG)不応例で、第8病日に解熱した。プレドニン(PSL)を漸減中の第18病日に血小板減少(7万/μL)と左前下行枝に径8mmのCALを認めた。川崎病症状の再発はなく、皮下出血を認めるのみであった。はじめ血小板減少性紫斑病と考えIVIGを再投与したが無効であった。血小板は7千/μLまで低下し、血小板輸血にも不応であった。冠動脈瘤評価のため施行したCTにて左胸郭背部に軟部腫瘤を認め、MRIにて血管腫が指摘された。血小板減少は血管腫によるKMSが疑われ、第29病日にPSLを再開した。PSLは冠動脈瘤破裂のリスクが懸念されたが、治療方針の決定には生検が必要であり、それを優先した。血小板が上昇したので、生検を施行し、KHEと確定診断した。生検後、PSLを漸減中止したが、血小板低下は以後認めなかった。CALと血管腫の治療目的でプロプラノロールを開始し、1年後には、CAL、血管腫とも退縮した。【結語】KHEは深部組織に認め、表在になく、その発見には画像検査が有効であった。原因不明な血小板減少の鑑別診断にKMSは重要である。今回、KMSは血管炎を契機に発症し、川崎病治療によるステロイドの影響で発症時期が遅れたかもしれない。