[III-P88-01] 小児期心筋症、心筋炎に関する疫学調査:小児慢性特定疾病登録データを用いた解析
Keywords:心筋症, 心筋炎, 小児慢性特定疾病
【背景】本邦における小児期の心筋症、心筋炎に関する全国規模の疫学調査の報告は少ない。【目的】厚労省小児慢性特定疾病研究班の研究として「小児慢性特定疾病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究」班によりデータベース化された小児慢性特定疾病の医療意見書登録データを用いて小児期の心筋炎や心筋症における疫学調査を行う。【対象】平成23~26年度に登録された25,920患者のうち心筋症、心筋炎1,037患者を対象とした。【方法】横断的研究として、1)患者背景:年齢、性別、疾患、2)症状:心不全症状、NYHA分類、3)治療:内服藥、人工呼吸管理、酸素療法、4)合併症:房室弁逆流、肺高血圧症、不整脈、5)学校生活管理指導について検討した。【結果】1)患者背景:年齢(平均±SD)8.4±6.0歳、女児46.1%、疾患は肥大型心筋症526例(50.7%)、拡張型心筋症180例(17.4%)、拘束型心筋症22例(2.1%)、心筋炎70例(6.8%)であった。2)症状:哺乳力低下62.2%、多呼吸24.8%、体重増加不良32.4%、易感染症26.7%、易疲労性76.0%、NYHA分類 I度20.0%、II度29.8%、III度6.1%、IV度3.6%、無記入40.6%であった。3)治療:強心薬20.3%、利尿薬43.9%、末梢血管拡張薬46.7%、βブロッカー63.0%、抗血小板薬17.1%、抗凝固薬8.1%、抗不整脈薬14.6%、人工呼吸管理5.2%、酸素療法 11.5%であった。4)合併症:房室弁逆流8.5%、肺高血圧症2.1%、不整脈9.5%であった。5)学校生活管理指導はA6.2%、B11.2%、C20.0%、D22.4%、E9.7%、無記入29.4%であった。【まとめ】小児期の心筋症、心筋炎では易疲労性を呈する患者が多く、4割がNYHA分類II度以上であり、βブロッカーを6割の患者が内服していた。また、学校生活管理で6割が運動制限を必要としていた。心臓移植や死亡の予後判定に課題があるが、全国規模の疫学調査として小児慢性特定疾病登録データの有用性が示唆された。