[III-P88-02] 人口動態統計死亡票・死亡個票を用いたFallot四徴症の死亡年齢と死因に関する検討(2014-2016)
キーワード:Fallot四徴症, 人口動態調査, 疫学
【背景】Fallot四徴症(TOF)は1955年に心内修復術が報告されて以降劇的に予後が改善したが、日本のTOF患者の予後に関する最近の疫学的報告は殆どない。【目的】「医療データベースの包括的利用による周産期の疫学研究」によりデータベース化された厚生労働省人口動態統計(死亡票・死亡個票)を用いて本邦におけるTOF患者の死亡年齢と死因の傾向を調査する。【方法】2014年から2016年の間に登録された人口動態統計死亡個票の「直接死因およびその原因」または「死因に影響を及ぼした傷病名等」の欄にTOFの記載のある298人を抽出し、市町村コードおよび事件簿番号により死亡票と連結した。このデータセットを用いて、死亡年齢と性別、症候群の有無(トリソミー、22q11.2欠失症候群など)、心奇形の型(古典型TOFもしくは複雑型TOF(肺動脈閉鎖、肺動脈弁欠損、房室中隔欠損のいずれかを合併))の相関をMann-Whitney testで解析した。また、死因を死亡年齢別に分類し、とくに18歳未満と18歳以上に分けて評価した。【結果】全TOF患者の死亡年齢の中央値は32.0歳(range 0-88歳)で、性差はなかったが、症候群の有無(非症候群42.9歳vs症候群0.8歳;p<0.001)および心奇形の型(古典型40.3歳vs複雑型1.3歳;p<0.001)で有意差を認めた。非症候群かつ古典型TOF症例に限定した場合の死亡年齢の中央値は46.3歳であり、乳児期を超えて生存した症例では20歳台までの死亡数は少なかったが、30歳以降で死亡数が増加した。死因については心血管関連死が64.4%を占め、そのうち18歳未満では周術期関連死(21.3%)、TOF(14.9%)、心不全(9.4%)の順に多かったのに対し、18歳以上では心不全(39.5%)、不整脈・突然死(16.7%)、TOF(8.4%)の順であった。【結語】死亡票を用いることで本邦のTOF患者の死亡例を全数把握し、その疫学の一端を明らかにした。