[III-P88-03] 生殖補助医療と先天性心疾患の関連
キーワード:生殖補助医療, 先天性心疾患, 母体年齢
【背景・目的】生殖補助医療(ART)は先天性心疾患(CHD)の出生リスクを増加させる。35年前から開始されたARTは普及し、日本では全出産の20人に1人がARTによって出産している。また高齢出産も関わり、ART実施件数は世界の中で日本が最も多い。しかしARTとCHDの関係性に対する日本の報告は少なく、CHD別での出生リスクについての報告もないため、検討する。
【方法】2012年1月から2018年12月までの7年間に当院に入院した重症CHD(1歳までに手術が必要なCHD)とARTの関連について検討した。動脈管開存は未熟性が関係するため除外した。
【結果】期間中の重症CHDは503例 (男児275例・女児228例)。母体年齢32±5歳・父体年齢34±6歳であり、染色体異常は87例(17%)で、ART児は51例(10%)であった。日本の全出産母体年齢と当院の全重症CHD母体年齢に差はなかった。染色体異常が関わるCHDに加えて総肺静脈還流異常症児の母体年齢が36±1歳と高齢であった。ART児は年々増加傾向で、2018年度は67例中13例(19%)であった。また両心室形態382例中ART児は32例(8%)であったのに対して、単心室形態121例中ART児は19例(16%)と多く、有意差が認められた(p=0.02)。
【考察】本検討では重症CHD母体年齢は高齢ではなかったが、母体年齢が関連するCHDが存在した。また日本の全出生数におけるART率を考慮すると、ART児の重症CHDリスクは高かった。加えてARTは平均的に重症CHDリスクを増加させるのではなく、より複雑な単心室形態児を出生させるリスクが高い可能性が示された。
【結語】今後、ART児はますます増加することが予想される。ART児の中で単心室形態を胎児診断できなかった症例も存在し、ART児ではより慎重な胎児フォローが必要である。
【方法】2012年1月から2018年12月までの7年間に当院に入院した重症CHD(1歳までに手術が必要なCHD)とARTの関連について検討した。動脈管開存は未熟性が関係するため除外した。
【結果】期間中の重症CHDは503例 (男児275例・女児228例)。母体年齢32±5歳・父体年齢34±6歳であり、染色体異常は87例(17%)で、ART児は51例(10%)であった。日本の全出産母体年齢と当院の全重症CHD母体年齢に差はなかった。染色体異常が関わるCHDに加えて総肺静脈還流異常症児の母体年齢が36±1歳と高齢であった。ART児は年々増加傾向で、2018年度は67例中13例(19%)であった。また両心室形態382例中ART児は32例(8%)であったのに対して、単心室形態121例中ART児は19例(16%)と多く、有意差が認められた(p=0.02)。
【考察】本検討では重症CHD母体年齢は高齢ではなかったが、母体年齢が関連するCHDが存在した。また日本の全出生数におけるART率を考慮すると、ART児の重症CHDリスクは高かった。加えてARTは平均的に重症CHDリスクを増加させるのではなく、より複雑な単心室形態児を出生させるリスクが高い可能性が示された。
【結語】今後、ART児はますます増加することが予想される。ART児の中で単心室形態を胎児診断できなかった症例も存在し、ART児ではより慎重な胎児フォローが必要である。