[III-P88-04] 産科施設における出生後心疾患スクリーニングの現状と問題点
Keywords:乳児健診, 先天性心疾患, 不整脈
【背景】胎児心エコーが行われる現在でも、心疾患スクリーニングにおける産科施設での健診の役割は大きい。【目的】産科施設における心疾患スクリーニングの現状を把握し、問題点を探ること。【対象】2009年1月から2018年12月の10年間に、日齢90未満で心疾患を疑われて産科施設から当科へ紹介され診断した757例。【方法】診療録の後方視的検討。【結果】受診時日齢は中央値22で、30台250例と10未満247例が多かった。男女比は367:390。主訴は心雑音(HM)667、チアノーゼ30、体重増加不良5、哺乳不良4、不整脈疑い33 (脈不整27、徐脈7、頻脈1) 例であった(全部のべ)。先天性心疾患は心室中隔欠損(VSD)215、動脈管開存35(内16例は後に自然閉鎖)、肺動脈弁狭窄28、二尖大動脈弁10、大動脈縮窄7、要手術の心房中隔欠損6、大動脈弁狭窄4、ファロー四徴症3例(のべ)で、要手術は68例9%あった(HM667例中52例=8%、チアノーゼ30例中20例=67%)。HM 667例中350例53%が末梢性肺動脈狭窄及び/又は楽音様雑音の生理的心雑音(fHM)で、次にVSD雑音が多かった(32%)。fHMでニ尖大動脈弁と副僧帽弁各1例が発見された。HM中fHMの割合は40例以上紹介の6施設で16~76% (中央値31%) と様々だが、紹介が小児科医か否かと無関係だった。心エコースクリーニング(UCGS)施行施設の紹介101例中UCGS所見のみが40例あり、うち手術不要の心房中隔短絡が35例で、VSD2例と要手術の部分型房室中隔欠損1例が発見された。不整脈疑いでは上室期外収縮(SVPC)18例、心室期外収縮(VPC)4例、上室頻拍を伴うWPW症候群1例、2度房室ブロック1例と21例64%に不整脈があったが、他に主訴がHMの4例に不整脈(SVPC2例、QT延長症候群1例、心室頻拍1例)があった。【結論】fHMは多いが聴診での判別は難しく、HMは心エコー精査が望ましい。UCGSは雑音なしで心疾患が発見され有用であった。不整脈は偶然発見されたものに重篤な疾患があり、心電図検診が望まれる。