[III-P88-05] 正常新生児における心室中隔欠損の頻度
キーワード:VSD, 新生児, 発症頻度
【背景】当院では、保護者の了解のもと正規産で入院適応でない児を対象に心エコー検査をほぼ全例で施行している。心室中隔欠損(VSD)は、通常心雑音にて気づかれるが、心雑音のみられない同疾患がみられるか、全例検査することでVSDの正確な発症頻度を調査した。【対象】2009年11月より2018年10月までの9年間に、当院にて出生した在胎37週0日から41週6日までの児でAFD児を対象とした。対象症例数は3037例(男児1532例、女児1505例)であった。生後1日で心エコーにてVSDの有無を調べた。他に合併先天性心奇形があるものは除外した。【結果】このうちVSDがみられたのは94例(頻度3.1%, 95%信頼域 2.5-3.7%)であった。性別では男児32例、女児62例で、男女比は1:2.0で、女児に有意に多かった(P=0.00090)。部位は、筋性部が88%、膜様部が11%で、流出路1%であった。複数回の聴診で心雑音が聴取できたのは47例(51%)であった。心雑音が聴取された割合は、筋性部(39/83)より膜様部(9/11)が多かった。これまでのフォローでは、ほとんどの症例で自然閉鎖が確認されている。【考察】先天性心疾患の罹患率は一般に1%程度と推測されている。この中でもVSDは頻度の多い先天性心疾患であるが、出生時の罹病率はこれよりかなり高いことがわかった。これはVSDが心雑音を期に発見されていることと関連することが原因と考えられる。女児に多いことの理由は不明である。膜様部欠損例でも心雑音がみられないことがあり、このような症例をどう把握していくのかが問題である。