[III-P89-03] 鹿児島市学校心臓検診スクリーニングシステム精度の検討
Keywords:学校心臓検診, 1次検診, ダブルチェック
【背景および目的】 学校心臓検診 (心検) は多くの児童・生徒が対象であり, その精度は費用対効果に大きく影響する.その精度の一端である1次検診での有所見者抽出率 (抽出率)は全国的に大きなばらつきがある.鹿児島市の心検1次スクリーニングは小児循環器医による集団判読会で行っている(7~12名/回,2時間/回を7回/4-6月)。心電図は2名の医師が別個に判読し(ダブルチェック),抽出された心電図を判読医全員で討議し絞り込み作業を行い2次検診受診児を決定している.当市における学校心検精度の検証を行った.【方法】 H1年から30年までの鹿児島市の心検受診者を対象とした. その1次検診抽出率と2次検診での有病率を解析した.【結果】 1次検診受診者は平均17,960人 (15,232-23,414人) で受診率は99.2-99.5%だった. 1次検診抽出率は平均2.1% (1.5-3.1%) であり, H21年以降の10年間では1.8-2.2%と特に安定していた.精密検査の総要管理者の割合は0.69% (0.52-0.91%) であった. 2次検診有病者は平均102人 (63-158人) であり, 2次受診者に対する有病者の割合は27.0% (16.7-36.3%) であった. 12誘導心電図が導入されたH7年からH13年の二次検診者有病率の平均22.0%と比較して,ダブルチェックを導入したH14年以降は平均27.8%と有意に高率だった (p<0.001) .【考察】 当心検における総要管理者は全国平均 (2013年度 0.9%) とほぼ同等であり感度の低下はなく, 1次検診抽出率は全国平均 (2013年度 3.0%) より低いことから, 高い精度が維持できているものと考えられた. 軽微な異常でも広く抽出する方針とし, その後に集団討議による絞り込みを行い不要な抽出を減らすことで精度を高めている. 若手医師はこの作業に加わることで理解が深まり, この教育効果が当心検の精度の維持に寄与しているものと考えられた.【結語】 鹿児島市心検の集団判読会システムは高い心検精度の維持と若手医師教育に有用である.