[III-P90-04] 高度の大動脈弁閉鎖不全および僧帽弁閉鎖不全を呈した大動脈4 尖弁の乳児例
キーワード:大動脈4尖弁, 大動脈弁閉鎖不全, 僧帽弁閉鎖不全
【はじめに】大動脈4尖弁(QAV)は希で、先天性心疾患において0.05%以下とされている(M.Tsang et al;Circulation 2016;133,312-319)。また乳児期に手術介入を要した例は、既報では認められない。今回我々は生後7ヶ月で、高度の大動脈弁閉鎖不全(AR)および僧帽弁閉鎖不全(MR)による心不全で発症し、手術介入を要したQAVの1例を経験したので報告する。【症例】7ヶ月男児。体重7.6kg。経口摂取不良、尿量減少を主訴に近医を受診。顔色不良、陥没呼吸も認められ、胸部X線での心拡大、高度MRも認められ、前医に緊急入院した。AR合併も認められ、内科的治療でも改善が乏しく、当センターに治療目的で転院した。胸部XP:CTR59%,severe MR&ARが認められ、ミルリノン、hANP、利尿剤投与でも改善乏しく、肺高血圧も認められ、入院3日目に大動脈弁及び僧帽弁形成術を施行した。QAVはtypeBで,大動脈弁はcommussiroplasty2カ所とoff center kissing stichで形成し、僧帽弁には後尖の前交連側に2カ所のhallを認めたため、心内膜パッチで修復後、K annuloplastyを行った。術後経過は順調で、軽度から中等度のARは残存したが、術後17日で退院した。【まとめ】乳児期に手術介入を要したQAVの1例を経験した。QAVは一般的に小児期では弁機能は保たれるとされており、小児期での手術介入は希で、更に乳児期での介入は我々の検索した範囲では認められなかった。MRに認められたhallについての詳細は不明であるが、僧帽弁逸脱の報告はあるが、同様の報告はなく、また自験例では感染性心内膜炎の所見は認められず、AR jetが当たる位置である可能性もあり、ARによる関与も否定できない。またARによる二次性の関与もMRの悪化要因であろう。自験例では心不全は改善したが、予後は不明であり、今後も注意深い観察が必要である。