[III-P90-05] 心室中隔欠損症の診断年齢
キーワード:心室中隔欠損症, 診断年齢, 心雑音
【背景】我が国では健診などによる小児の聴診の機会が比較的多く、心雑音のはっきりした先天性心疾患は早期に診断されやすい。左右短絡疾患でEisenmenger化して初めて診断される例は少ないと思われる。しかし心室中隔欠損症(VSD)でも診断が遅れる症例が稀に存在する。【対象と方法】2011年1月から2018年12月までに当院を受診したVSD332例(複雑心奇形、重篤な染色体異常は除く)。診療録から後方視的に診断年齢、診断契機を検討した。【結果】性別は男児151例女児181例。新生児期の合併症がみられたものが50例あり、ダウン症などの染色体異常19例、早産・低出生体重児17例などであった。筋性部欠損は85例(25.6%)であった。手術適応となったものが79例(23.8%)、経過中に自然閉鎖が確認できたものが144例(43.3%)。診断時期は生後1か月以内が229例(69.0%)、1か月台が82例(24.7%)、2か月以降が21例(6.3%)であり、93.7%が1か月台までに診断されていた。診断契機は心雑音276例(85.7%)、他疾患のスクリーニング34例(26.1%)、胎児診断14例(4.3%)、心不全症状6例(1.9%)、呼吸器感染2例(0.6%)であった。2か月以降に診断された21例(このうち筋性部5例)の診断時期は2か月から1歳6か月(中央値3か月)で、診断契機は心雑音19例(90.4%)、心不全症状1例(4.8%)、呼吸器感染1例(4.8%)であった。21例中手術適応となったものは9例(42.9%)あり、1か月台までに診断された群より有意に高かった(p<0.05)。【まとめ】VSDの多くは生後1か月台までに診断されていた。診断が遅れる症例は新生児期に心雑音がはっきりしない症例と考えられ、手術適応症例が多いことから注意が必要と思われる。