[III-P91-02] 二心室修復が可能であったunbalanced AVSD, hypoplastic LVの一症例
Keywords:unbalanced AVSD, LV inflow, AVVI
【背景】unbalanced AVSD(uAVSD)は、二心室修復(BVR)が可能か否かの判断として、potential LV volume、AV valve index(AVVI), modified AV valve index(mAVVI)など、様々な指標が報告されているが、未だ確立したものはない。今回、uAVSD, hypoplastic LVでAVVI/mAVVIがBVR困難に関わらず、二心室修復に成功した1例を経験したので報告する。【症例】11カ月、男児、在胎39週0日、3308gで出生。チアノーゼの主訴で、心エコーでuAVSD(Rastelli type A), CoA, hypoplastic arch, hypoplastic LV, PLSVCと診断した。LVEDV: 6.2ml(75% of normal), RVEDV: 14mlでRV/LV: 2.3とunbalanceであった。また、AVVI:0.57(UVR), mAVVI:0.36(gray zone), inVSD: 0.38(consider UVR), potential volume: 23.6ml/m2と種々のパラメーターでBiventricular repair(BVR)境界域であった。LV volume保たれており、乳頭筋間距離: 10.1mm(≧8.mm拡張期)であり、BVRの方針とした。bilateral PAB(day15)、Arch repair, MPA banding(1M)施行。肺血流の減少に伴いAVVI/mAVVI: 0.58/0.37(4M), 0.46/0.31(7M)と左側房室弁が狭小傾向となった。7 ヶ月時にLV volume: 12.1ml(76% of normal; 30.3ml/m2), CINE: 12.8ml(88% of normal, 38.8ml/m2)と保たれており、Mitral valve inflowから想定された術後のStroke Volume(SV): 8.6mlで、BVR後も左室の駆出が十分であろうと診断した。一方で左側房室弁輪径8.5mm(z value-6.7)と小さく、cleft閉鎖は困難と判断し、Cleftは閉じずにAVSD repairを施行、MSは来さなかったが、cleftからのmassive MRを生じ、9ヶ月で人工血管(18mm)にATS 16mmを装着、弁上にMVRを施行。経過良好で術後1ヶ月で退院。【結語】AVVIやmAVVIの指標でBVRの可否を判断することは困難で、LV volume70%以上保持され、LV inflowから推定するSVが保たれている症例ではBVRが検討されるべきであろう。術後MRの進行も考慮にいれる必要がある。