第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション92(III-P92)
外科治療 9

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:木村 成卓(慶應義塾大学医学部 外科(心臓血管))

[III-P92-03] 胸骨後食道再建術後における右側方アプローチ自己心膜大動脈弁再建手術

村山 弘臣1, 岡田 典隆1, 大河 秀行1, 安田 和志2, 河井 悟2, 森鼻 栄治3, 齋藤 和由2, 森 啓允2, 鬼頭 真知子2 (1.あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科, 2.あいち小児保健医療総合センター 循環器科, 3.あいち小児保健医療総合センター 新生児科)

Keywords:胸骨後食道再建術後, 右側方アプローチ, 自己心膜大動脈弁再建手術

【背景】胸骨後食道再建術後の児に対し,右側方アプローチから,自己心膜による大動脈弁再建を行い良好な結果を得たので供覧する.【症例】症例は年齢10歳(身長119 cm,体重22.4 kg),女児.先天性食道閉鎖(Gross D)に対し,胃瘻・腸瘻造設,気管切開を含む4回の手術で,胸骨後経路にて胃管を用いて食道再建された.児は幼少期より大動脈弁狭窄,心房中隔欠損,左上大静脈遺残を経過観察されており,心臓カテーテル検査で肺・体血流比=1.7であった.経過中に,心エコーで大動脈弁位Vmax=4.3 m/sと計測され,手術の方針とした.【手術】胸骨直下に胃管が位置するため,胸骨正中切開は不適切と判断し,左側臥位,右側方切開で手術を行った.第5肋間から胸膜外を剥離して心膜を露出し,これを採取し,グルタールアルデヒド処理した.弓部大動脈送血,右上,下大静脈脱血で体外循環を開始した.部分体外循環のまま大動脈を遮断し,順行性心筋保護で心停止とした.左上大静脈の脱血は,冠静脈洞から脱血カニューラを挿入することで対応した.大動脈を横切開すると,弁は肥厚したunicuspであった.弁尖を切除し,rapheを参照に交連間距離を測ると,不均衡が目立った.そこで,commissureを偏位させて再計測すると,L,R,Nそれぞれ17,21,17 mmとなった.尾崎法に準じ,グルタールアルデヒド処理自己心膜から弁尖を作製し,大動脈弁を再建した.体格相当の大動脈弁輪径が13.3 mmに対し,14 mmのブジーを挿入可能となった.心房中隔欠損は二次孔欠損で,直接閉鎖した.体外循環からの離脱は容易で,術後経過良好であった.術後心臓カテーテル検査では,1°の逆流を認めるものの,大動脈弁位に圧差はなかった.【まとめ】胸骨正中アプローチが困難な症例であっても,右側方アプローチにて安全に手術を行うことができた.この際,左上大静脈遺残があっても,冠静脈洞から脱血カニューラを挿入することで対応可能であった.