[III-P94-04] 漏斗胸患児の胸郭変形による心室への圧迫の影響
Keywords:漏斗胸, 肺血流, 心機能
背景:漏斗胸は胸骨、肋軟骨の変形により前胸部が陥凹し右心室は圧排され、右室形態異常や僧帽弁逸脱が合併することが知られているが、心室機能に関する検討は乏しい。今回我々はパルスドップラー法および組織ドップラー法を用いて漏斗胸Nuss術前後での心室機能と胸郭陥凹度、縦隔偏位度との検討を行った。対象と方法:平成26年4月から平成29年3月までに当院で漏斗胸に対してNuss手術を施行した心疾患がない漏斗胸患児10名。手術前、術後(bar抜去前)の2点で以下の指標につき比較検討した。胸郭の陥凹度の指標であるFunnel index(FI)を胸部CTから算出した。また、縦隔偏位度としてleft deviation index(LDI)を胸部レントゲン写真より計測した。心エコー法では心室の拡張能の指標としてE/A, E/e'、右室の圧迫の評価としてFractional area change(FAC)を計測した。また肺血流シンチグラムにより左右肺血流比(Ls/Rs)を算出した。結果:全例で左室収縮能低下は認められなかった。術前後でFI 、LDIは統計学的有意差を認め、明らかな胸郭形態の改善を認めた(FI:4.5±0.9 vs 2.5±0.2、P<0.05、LDI:12.0±4.7 vs 20.4±4.1、P<0.05)。また、Ls/Rsは術前後で左肺血流増加を認めた (0.74±0.14 vs 0.86±0.09、P<0.05)。術前後で右室のFAC、左右心室のE/Aは術前後で有意差を認めなかった。また、FIはLs/Rsおよび右室E/e'と有意に相関した(R=0.82 p<0.05)、結語:漏斗胸患児では縦隔の左方偏位による肺動脈の圧迫や胸骨圧迫による右室の変形が心室機能や肺血流に影響する可能性が示唆されたが、症例数が少ないためさらなる症例データの蓄積が必要と思われた。