第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧

ポスターセッション94(III-P94)
肺循環・肺高血圧 8

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 CCU)

[III-P94-05] 拘束性換気障害による肺高血圧に対し、非侵襲的陽圧換気療法と肺動脈性肺高血圧症治療薬を併用した骨形成不全症の9歳女児

桑原 こずえ, 中野 威史, 河本 敦, 平井 洋生, 山本 英一, 石田 也寸志 (愛媛県立中央病院 小児科)

Keywords:肺高血圧症, 拘束性換気障害, NPPV

【はじめに】非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)は、神経筋疾患における拘束性換気障害に対しても使用され、胸郭変形に合併した肺高血圧症について効果があったとの報告がある。一方、骨系統疾患である骨形成不全症(OI)の慢性呼吸不全にNPPVを使用したとの報告はあるが、OIの呼吸器合併症のひとつである肺高血圧に対する効果は不明である。【症例】9歳女児【現病歴】胎児期より四肢短縮を指摘、出生後に骨形成不全症(5型)と診断され、他院にて乳児期より4か月に1度のビスホスホネート(パミドロン酸)療法を受けていた。6歳10か月時に気管支喘息大発作のため当院に入院した際に、遷延性の睡眠時低酸素血症を認め、拘束性換気障害による慢性呼吸不全と診断した。退院時より在宅酸素療法を導入し、続いて高流量鼻カニュラ酸素療法(nasal high flow ventilation: NHF)、7歳9か月よりNPPVを開始した直後に肺高血圧の存在が明らかとなった。【現症】身長80cm(-8.2SD)、体重11.0kg(-3.0SD)、SpO2 88%(room air)、胸郭変形が著しく呼吸数60/分と多呼吸・陥没呼吸あり【検査所見】胸部レントゲン:CTR 57.5%、心電図: 右室肥大, 右軸偏位、心エコー:moderate TR(推定右室圧 90mmHg)【臨床経過】NPPV開始直後から活動性や睡眠が改善したが、3か月後の時点では呼吸様式や肺高血圧の改善は認めず、4か月後よりETRA(マシテンタン)を、8か月後よりPDE-5I(タダラフィル)を開始し漸増した。NPPV開始1年8か月(9歳9か月)頃より顔面の浮腫が消失し、開始2年(10歳1か月)には努力呼吸が著明に改善し、推定右室圧40mmHgと肺高血圧の改善を認めた。【考察】NPPVによる低換気の是正と陽圧効果により、酸素化の改善に加えて胸郭の拡大が得られたことが最大の要因と思われた。【結語】骨形成不全症に合併した肺高血圧に対し、NPPVと肺動脈性肺高血圧症治療薬の併用が効果的であった。