[III-P96-02] Fontan手術後症例において主心室の形態が心機能に与える影響
キーワード:Fontan手術後, 単心室, 心機能低下
【背景】Fontan手術後症例では心機能は正常と比較して低下しており、主心室が右室か左室かでも心機能や予後が異なるとの報告が多い。しかし、主心室の形態では変わらないとの報告もあり未だ議論が残るところである。【目的】Fontan手術後症例で主心室の形態の違いが心機能に影響するかを明らかにすること。【方法】対象は2014~2018年の間に当院で心エコー検査を施行したFontan手術後症例33人。主心室が左室をL群、主心室が右室をR群とし、両群で比較検討した。左右どちらの心室もある程度容積がある両心室形態であるものは除外した。収縮能の指標として主心室自由壁におけるs’、拡張能の指標として主心室流入血流のE/A比、e’、E/e’、収縮能、拡張能両方の指標であるTei indexを比較検討した。【結果】L群は17例、R群は16例で、評価時年齢、Fontan手術後経過年数はそれぞれ中央値でL群 vs. R群が12.0歳(3.1~40.5歳) vs. 13.1歳 (3.1~35.6歳)、9.3年 (1.0~20.2年) vs. 9.8年 (1.0~22.9年)と差はなかった。s’、E/A比、e’、 E/e’、Tei indexはL群vs. R群でそれぞれ、6.2±1.5cm/s vs. 4.7±1.4cm/s (p<0.05)、1.10±0.20 vs. 1.45±0.47 (p<0.05)、9.4±2.7cm/s vs. 6.1±2.1cm/s (p<0.05)、6.1±3.7 vs.13.8±9.8 (p<0.05)、0.50±0.12 vs. 0.62±0.17 (p<0.05)と収縮能および拡張能を示す指標はいずれもR群で有意に低下していた。【結論】Fontan手術後症例では主心室形態で心室機能低下の程度は異なり、右心室でより低下していることが示唆された。