第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心臓血管機能

ポスターセッション97(III-P97)
心臓血管機能 5

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:高橋 健(順天堂大学医学部順天堂医院 小児科・思春期科)

[III-P97-01] フォンタン術後診断カテーテル検査での麻酔管理における問題点~適正な麻酔管理は?~

平野 恭悠1, 高橋 邦彦1, 森 雅啓1, 廣瀬 将樹1, 江見 美杉1, 豊川 富子1, 松尾 久実代1, 石井 陽一郎1, 青木 寿明1, 橘 一也2, 萱谷 太1 (1.大阪母子医療センター 小児循環器科, 2.大阪母子医療センター 麻酔科)

キーワード:Fontan手術, 麻酔管理, 心臓カテーテル検査

【背景】Fontan術後の心臓カテーテル検査の血行動態評価で、適正な麻酔管理は確立されていない。【目的】Fontan術後の心臓カテーテル検査において、麻酔による問題点を抽出し、よりよい麻酔方法を考察すること。【方法】対象は、1995年~2008年にFontan手術を施行した90例(静脈麻酔:I群 59例、全身麻酔:G群31例)。麻酔導入後に、普段と異なる血行動態(血圧:±20%、心拍数:±20%、SpO2:-10%)を呈した症例について、静脈麻酔(非挿管・自発呼吸温存)と全身麻酔(気管挿管・陽圧換気)に分けて後方視的に比較検討した。【結果】血行動態が変動した症例は、I群23例(38%)、G群16例(52%)。その内訳はI群で頻脈12例(前46-91bpm→後68-130bpm、平均較差%:+56%)、高血圧6例(前87-128mmHg→後128-173mmHg、平均較差%:+33%)、低酸素血症2例(前SpO2 97・98%→後SpO2 86・88%)、低血圧2例(前118・140mmHg→後81・82mmHg)、G群で低血圧11例(前106-151mmHg→後67-101mmHg、平均較差%:-36%)、低酸素血症4例(前SpO2 76-93%→後SpO2 61-81%、平均較差%:-12%) 、徐脈1例(前66ppm→後40ppm)であった。【考察】静脈麻酔の問題点は麻酔深度が浅いと頻脈・高血圧が、麻酔深度が深いと低血圧・低酸素血症が問題となり、一方で全身麻酔では麻酔薬による低血圧・徐脈が問題点として抽出された。これらの中には検査結果の解釈に困る症例も存在していた。【結語】Fontan循環の適正な把握には、自発呼吸下で行うのがbetterであることは言うまでもない。今後は静脈麻酔を基本とし、麻酔深度を浅くしすぎず血圧・脈の上昇を抑え、深くなった場合にはラリンジアルマスクの使用なども検討するべきであり、麻酔科との連携を図っている。