[III-PD07-01] カテーテル検査を中心に非侵襲的測定への展開
キーワード:心室圧容積関係, 心臓カテーテル検査, 心血管機能検査
心血管機能の理解に基づく循環の理解、評価は臨床上必須事項であり、それ故に心血管機能の不明点を明らかにする臨床研究は、臨床医として必須事項といえる。心臓カテーテル検査に基づく心室圧容積関係(PV関係)は、負荷条件を加味した心室収縮性、拡張能を提示してくれるのみならず、後負荷との整合性、血圧変動の予測、負荷変化や薬物投与に伴う心拍出量変化の予測、心室エネルギー関係等、多様な情報を与えてくれる。(1)この方法論と結果の解釈の留意点に関し概説し、PV関係を用いて得られたFontan心室エネルギーや小児における駆出率の保たれた心不全、大動脈縮窄術後の高血圧病態等に関する臨床上重要な知見も紹介する。(2)また、PV関係はより簡便な単一心拍から求める方法論がいくつか開発され、さらにはMRIや超音波、トノメトリーを用いて非侵襲的に求めることも可能であり、これらはPV関係の臨床応用を広げるのに役立つため、その概論を紹介し、MRIとエコーから求めたFallot術後右心不全のPV関係の治療経過を提示する。(3)カテーテル検査は圧測定により心室弛緩の状態を負荷条件とともに計測できる唯一の検査であるが、弛緩評価に潜むPitfallにも言及したい。(4)カテーテルによる血管内圧の測定からは、様々な指標により血管の硬さ、反射、心筋酸素需給バランス等に関する情報が得られ、種々の病態解明に応用できる。ノーウッドの酸素需給に関し斬新な知見を例として紹介する。(5)さらに血圧データは血流計測と組み合わせることにより血管床、動脈血行動態を包括的に評価できるインピーダンスの算出や、脈波の起源や質に関して詳細な情報を提供するWave Intensityの算出を可能にし、圧測定だけではわからない病態理解に役立つ。以上、明日からの日常診療からも行える臨床研究に役立つよう、カテーテル検査を中心にした心血管機能検査の概要と実際を深く討論したい。