[III-PD09-04] 先天性心疾患における血行動態評価のための血流画像と手術計画としてのシミュレーション
キーワード:4D flow MRI, 血流シミュレーション, 先天性心疾患遠隔期再手術
先天性心疾患は解剖や血行動態が複雑で、遠隔期心機能を良好に保つ治療戦略が肝要で、このため複雑な血行動態を詳細に分かりやすく把握し、手術治療に際して入念な計画を行うことが必須である。
先天性心疾患の遠隔期血行動態評価には3次元的に拍動血流を可視化する4D flow MRIが有益である。体循環系と肺循環系で心室容積、駆出率、心拍出量、弁逆流などを定量化するのみならず加速血流や乱流の分布を詳細に表示することができ、心負荷の指標として血流エネルギー損失が得られる。これらは3次元的に解剖が複雑な右心系や超音波が届きにくい上行大動脈などの診断には極めて有益で、特に先天性心疾患遠隔期の再手術適応の決定に際しては極めて有用である。一方で血流可視化画像には速度分布の詳細な情報が含まれるが血圧の情報がなく、圧計測での血行動態評価は依然カテーテル検査に頼らざるを得ない。
一方、手術治療に際して術式が複数通り存在する場合には術前CTをもとに術後の仮想形状をコンピュータグラフィックスで作成し、血管端の出入口に血圧や流量や末梢血管抵抗などの条件を組み込むことで術後の血行動態を仮想的に再現しシミュレーションを行うことができ、手術計画として有益である。流体シミュレーションでは物理学的な方程式をコンピュータで解くため血流速度のみならず血圧の分布も得られるが、計算の設定である血管端の出入口に与える生理学的な条件の設定や選択が結果に大きく影響するため現実との差異に十分な留意をしなければならない。また心臓弁や心筋など大きな変形をする構造物内の血流を再現することは容易ではなく、大動脈弓再建やFontan手術などの血管系になじむ傾向にある。
本講ではccTGAやファロー四徴症修復術後遠隔例や下大静脈欠損Fontan症例など解剖の複雑な症例で血流可視化画像や血流シミュレーションがどのように活き、どのような留意点が必要になるのかを具体的に議論する。
先天性心疾患の遠隔期血行動態評価には3次元的に拍動血流を可視化する4D flow MRIが有益である。体循環系と肺循環系で心室容積、駆出率、心拍出量、弁逆流などを定量化するのみならず加速血流や乱流の分布を詳細に表示することができ、心負荷の指標として血流エネルギー損失が得られる。これらは3次元的に解剖が複雑な右心系や超音波が届きにくい上行大動脈などの診断には極めて有益で、特に先天性心疾患遠隔期の再手術適応の決定に際しては極めて有用である。一方で血流可視化画像には速度分布の詳細な情報が含まれるが血圧の情報がなく、圧計測での血行動態評価は依然カテーテル検査に頼らざるを得ない。
一方、手術治療に際して術式が複数通り存在する場合には術前CTをもとに術後の仮想形状をコンピュータグラフィックスで作成し、血管端の出入口に血圧や流量や末梢血管抵抗などの条件を組み込むことで術後の血行動態を仮想的に再現しシミュレーションを行うことができ、手術計画として有益である。流体シミュレーションでは物理学的な方程式をコンピュータで解くため血流速度のみならず血圧の分布も得られるが、計算の設定である血管端の出入口に与える生理学的な条件の設定や選択が結果に大きく影響するため現実との差異に十分な留意をしなければならない。また心臓弁や心筋など大きな変形をする構造物内の血流を再現することは容易ではなく、大動脈弓再建やFontan手術などの血管系になじむ傾向にある。
本講ではccTGAやファロー四徴症修復術後遠隔例や下大静脈欠損Fontan症例など解剖の複雑な症例で血流可視化画像や血流シミュレーションがどのように活き、どのような留意点が必要になるのかを具体的に議論する。