第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム10(III-S10)
良好なフォンタン循環の確立

Sat. Jun 29, 2019 10:10 AM - 11:40 AM 第1会場 (特別会議場)

座長:安河内 聰(長野県立こども病院 循環器センター)
座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)

[III-S10-04] Fontan手術到達の面からみた左心低形成症候群に対する治療戦略

笠原 真悟, 辻 龍典, 小林 泰幸, 横田 豊, 迫田 直也, 門脇 幸子, 堀尾 直裕, 黒子 洋介, 小谷 恭弘, 立石 篤史 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)

Keywords:フォンタン手術, 左心低形成症候群, 外科治療

【背景】Norwood手術の成績は著明に改善した。一方で、Fontan手術の適応拡大に伴い問題点も出てきている。当院におけるHLHSの外科治療戦略と遠隔期成績をふまえてFontan手術到達という面から問題点を検討した。
【対象】1998年よりNorwood手術を行った連続175例が対象。当院では、1) 在胎週数37週未満、2) 体重2.5kg未満、3) 中等度以上の三尖弁閉鎖不全(TR)、に加え4) 多臓器不全を除き基本的にはNorwood手術を初回手術として選択した。Norwood手術は、RV-PA shuntを使用し、BDGは生後6カ月、Fontan手術は2−3歳を目標に施行した。
【結果】全175例中、Norwood手術適応外の39例に両側肺動脈絞扼術を行った。うち8例は死亡し、残りの142例に対してNorwood手術を施行(日齢の中央値9日、体重の中央値2.74kg)、11例(7.7%)の早期死亡を認めた。131例のNorwood生存例のうち8例はinterstageで死亡、4例はその後二心室治療を行ったため、計115例に対してBDG手術をNorwood手術から6.3±2.3ヵ月後に行った。BDG後の早期および遠隔期死亡はそれぞれ4例と8例であり、Fontan手術には現在まで87例に対し年齢30.2±7.6ヶ月で施行した。Kaplan-Meier法による生存率は3ヶ月91%、12ヶ月82%、36ヶ月77%、210ヶ月では75%であった。BDG後にFontan手術に到達できていない症例は8例であり、その理由は、肺動脈発育不良が3例、低心機能あるいは三尖弁逆流が4例、脳神経系異常が1例であった。また、Fontan手術時のPA indexはHLHS以外の単心室と比較して有意に低値であった(HLHS: 226 vs. 非HLHS: 263mm2/m2, p=0.003)。Fontan手術の心駆出率は HLHSで低値の傾向を示したが有意差を認めなかった(60 vs. 65%, p=0.074)。
【まとめ】Norwood手術を初回手術としたHLHSに対する治療成績は安定していた。一方、Fontan手術時の心機能および肺動脈の条件は他の単心室と比べると低値で、三尖弁形成、肺動脈形成などの時期も含めた段階的治療戦略の改善が重要である。