[III-S11-03] 学校管理下心停止事例の管理指導区分に関する検討:突然死例と蘇生後ICD植込み例の比較
Keywords:学校心臓検診 , 突然死, 植込み型除細動器(ICD)
【背景】就学年齢の心血管系突然死は減ったが、学校心臓検診の効果は明確ではない。最近の学校管理下心停止と心臓検診及び管理指導区分(以下「区分」)の関連を検討する。【方法】2014~15年に学校災害共済制度へ報告された心血管系突然死(D群)と、心停止蘇生後に後遺症のないICD植込例(R群)を全て抽出した。両群の発症状況、原因疾患、検診所見と区分を調査した。R群は発症前とICD植込後の区分を調べた。両群の運動制限例(B~E禁)、有所見(B~管理不要)例、区分不明例、運動中発症の割合をχ2検定(有意水準0.05)により比較した。【結果】2年間でD群とR群各22例が抽出された。心停止発症前の区分で運動制限例は、D群5例(先天性3, Marfan、心筋症)、R群2例(先天性、心筋症)で有意差なし。E可は、D群6例(先天性2、PVC、WPW、心筋症疑、陰性T波)、R群3例(筋ジス、PAC+1AVB、先天性)であった。管理不要はD群4例(呼吸性不整脈、不定軸、PVC+左軸、先天性)、R群3例(左軸、心筋症、陰性T波+RBBB)で、有所見例はD群に多かった。異常なしはD群5例とR群8例で、剖検や病院精査によりD群に心筋炎2 、大動脈解離1と、R群にQT延長、QT短縮、異型狭心症、WPW、ARVDを診断した。区分不明例はD群2例、R群6例であり、R群に精査後、心筋症、冠動脈奇形を診断した。R群のICD植込後の区分はB、C、D、E禁各2例、E可1例と不明13例(59%)で、区分不明の割合がD群、R群発症前より多かった。運動中の発症はD群14例に対しR群21例は有意に多かった。【結論】発症前の運動制限例は死亡、蘇生例共に少なかった。死亡例には有所見者が多く、E可と管理不要の意義再考を要する。事前所見のない心停止はほぼ全て運動中発症で、アスリート検診の必要性と蘇生後ICD植込後の管理明確化の検討が必要である。