[III-S11-05] 学校検診では発見できず蘇生を要した冠動脈異常症例の検討 突然死ニアミス症例から学ぶこと
Keywords:学校検診, 突然死, 冠動脈異常
【はじめに】学校検診により不整脈、心疾患が早期に発見され心臓突然死の予防に貢献している。一方で学校検診だけでは発見困難であり突然死する症例も少数ながら依然認めるが原因不明であることも多い。冠動脈異常はほぼ無害の走行異常も存在する一方、活動性の増す学童期に突然死等の重篤な症状を呈する症例もいる。2012年1月から2019年1月までの間に、6-18歳で心内構造異常を認めず、冠動脈異常にて手術を施行した5症例のうちショック等にて蘇生を要したイベントのあった2症例を提示する。【症例1】12歳男性 11歳時に運動中に失神し心肺蘇生を施行。他院での運動負荷心電図を含めた入院での精査にて明らかな異常を認めず、経過フォロー。再度運動中に蘇生を要するイベントがあり。前医で冠動脈攣縮性狭心症と診断され当院へ紹介。当院でのCT検査にて左冠動脈起始部の壁内走行と診断。左冠動脈起始部狭窄解除術を施行。【症例2】13歳女性 13歳時に運動中に胸痛あり。他院での運動負荷心電図を含めた入院での精査にて明らかな異常を認めず、経過フォロー。再度運動中に胸痛、ショック状態となり蘇生を要し前医へ搬送。心臓カテーテル検査にて左冠動脈右冠動脈洞起始症と診断。左主幹部が大動脈と肺動脈で圧迫されることによる症状と診断され当院へ紹介。左冠動脈入口形成術を施行。【考察】当院で学童期に冠動脈異常にて手術を要した5症例のうち運動負荷心電図によるST変化は2例であり、初回精査での診断例は2例のみであった。5例とも学校検診ではピックアップされず、心電図のみでのスクリーニングは困難と思われる。学校検診の問診表で運動時の胸痛、失神に注目すること、心エコー検査にて冠動脈異常に注目することが発見契機となりうる。【結語】冠動脈異常の診断は困難なことが多いが突然死する可能性がある。運動時胸痛、意識消失等を呈する場合、冠動脈異常の可能性も常に考慮すべきである。