[III-TRO04-01] 成人病棟と小児病棟および小児科医師における肺高血圧患者の移行期医療に関する認識の違いについて
キーワード:移行期医療, 肺高血圧, 成人
〈背景〉小児期発症の肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、治療の進歩によって生命予後が改善され、成人期に到達できるようなり、移行期医療の重要性が高まってきているが、適切な成人病棟への移行がなされていない現状がある。〈目的〉移行期医療に関する知識および、その現状について、成人病棟と小児病棟の看護師、小児科医師の間で認識の違いを検討した。〈方法〉本研究は院内倫理委員会で承認されたアンケート調査であり医師、看護師を対象とした。結果を成人病棟看護師(成人N群)、小児病棟看護師(小児N群)、小児科医師(D群)の3群にわけて検討した。〈結果〉成人N群10名、小児N群11名、D群10名からアンケートを収集した。移行期医療の知識は成人N群で20%(2名)に対し、小児N群で63%(7名)、D群で90%(9名)と高値であった。当院における移行期医療の実施に関しては、できていると答えたのは成人N群で0名、小児N群とD群では1名だった。PAH患者の意思決定可能な年齢に関しては、成人N群では19歳以上、小児N群では16~18歳、D群は13歳~15歳と回答し、3群で違いがあった。治療に関する意思決定ができていないと答えたのは、成人N群では60%(6名)小児N群では50%(6名)、D群は55%(4名)であり、成人N群で最も高い傾向を示した。PAH患者にセルフケア能力があると回答したのは、成人N群では20%(3名)、小児N群では55%(6名)、D群は50%(5名)であり、成人N群で最も低かった。〈考察〉移行期医療の実施に関しては全ての群で不十分であると認識していた。小児N群とD群では移行期医療への知識は高く、PAH患者の意思決定やセルフケア能力があると考えているが、成人N群ではこれと対照的な結果であった〈結論〉小児病棟看護師と小児科医は、PAH患者における移行期医療の重症性が浸透してきているが、成人病棟への移行は不十分であり、成人看護師との間に認識の違いがあった。