[III-TRO05-01] 心臓血管外科手術後にPICUへ入室した患児の母親が清潔ケアに参加しようと思う心理過程
キーワード:先天性心疾患, 清潔ケア, 愛着形成
【背景】心臓血管外科術後は多数の医療用デバイスや患児の状態不安定である中で母親はケア参加意欲を見せる場合がある。その心理過程を知ることでケアの質向上や愛着形成を促すことへ繋がると考えた。今回はPICUにおける母親の清潔ケア参加を限定として調べた。【目的】PICUで母親が清潔ケアに参加しようと思う心理過程を明らかにする。【方法】対象者: 心臓血管外科手術を受けPICUへ転入した患児の母親4名。研究方法:心臓血管外科手術後、PICUに入室した患児を持つ母親に半構造化面接を実施した。インタビューデータから逐語録を起こし意味を成す文で切片化を行い、ケア参加に関するカテゴリーでまとめ関連性を検討した。研究期間:2018年9月~2018年12月倫理的配慮:所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得た。【結果】術直後母親は[手術が無事に終わったことへの安堵感]を抱く反面[患児の状態不安定]で[患児に触れることへの恐怖感]を抱き、患児との接触も制限された。患児がPICUに入室後、[患児に対する距離感や接し方が分からない戸惑い]が生じていた。しかし、[看護師の声掛けや行動がケア参加するきっかけ]となり、その結果[ケア参加することに喜びを感じる]へ変化した。一方[母親への声掛け不足やケアに対する認識不足]が[患児へ関わることに対する消極的な思い]へと繋がった。【考察】母親は手術直後の患児の状態や環境を見て不安感や恐怖感を抱き、患児との関わりが希薄化することで患児との距離感にも影響し、戸惑いが生じる。しかし、医療従事者からの励ます言葉やケア参加の喜びを通して積極性が生じ、ケア参加を重ねることで患児との距離感が縮まる。これらの経験から母親は患児が多数の医療用デバイスがある中でも接し方を見出した要因となった。一方、ケア参加が消極的な母親は患児の疾患の受け入れ困難といった出生後から術後までの母子関係に影響を与える要因であったと考えられた。