第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム(多領域専門職部門)

シンポジウム(多領域専門職部門)(III-TRS)
小児不整脈の治療(アブレーション等の最前線)と心臓植込み型電気的治療具(CIEDs)における多領域の関わり

Sat. Jun 29, 2019 8:30 AM - 10:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:泉岳先生(北海道大学 小児科)
座長:南茂先生(大阪大学医学部附属病院 医療技術部臨床工学部門・臨床工学部)

[III-TRS-01] 小児不整脈治療へのアプローチ"治療の最前線"

吉田 葉子 (大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

Keywords:カテーテルアブレーション, 3Dマッピングシステム, Rhythmia

当科は総合病院内に病床を有する小児医療センターの一診療科であり、科の開設以来1000件を超える不整脈患者に対するカテーテルアブレーション治療を行ってきた。小児の不整脈診療では、成人とは異なる疾患群が対象となる。小児においては遺伝学的素因・刺激伝導系の発生異常・先天性心疾患手術や炎症などの後天的要因が複雑に関連し、さらに加齢による変化が加わって不整脈が発生する。我々の診療内容は、カテーテルアブレーション治療、心臓植込み型電気的治療具(CIED)による治療、遺伝性不整脈の診療、失神診療、学校心臓検診などである。
 アブレーション治療、CIEDによる治療はテクノロジーの進歩とともにめざましく発展してきた。とくにアブレーション治療をアシストする3Dマッピングシステムは、各社がしのぎを削っている。Rhtyhmia(Boston Sientific社)はAIマッピングともいえるシステムで、心内の何千何万点の情報を短時間に取得し、心筋興奮の伝播を明示することができる。CARTO3(Biosense Webster社)は、一般的なマップ画像(心腔内カテーテルから得られた電位情報と三次元的位置情報からなる)に、透視画像や心腔内エコー画像の統合を可能にした。これらにより、被ばく量を著明に低減し、また複雑な解剖学的構造に対する精度の高い治療が可能になった。またカテーテル治療のエネルギー選択としては、高周波アブレーション(熱)だけでなく、クライオアブレーション(冷凍凝固)が可能となった。クライオアブレーションでは房室結節近傍治療による房室伝導障害のリスク低減がかなえられた。
 小児不整脈診療では、各種治療ツールを患者ごとに適切に選択して使用することで、最良の治療を行っている。