The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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優秀演題

不整脈

優秀演題02(I-OEP02)
最新の遺伝性不整脈の臨床

Sun. Nov 22, 2020 5:30 PM - 6:00 PM Track4

座長:大野 聖子(国立循環器病研究センター 分子生物学部)
座長:青木 寿明(大阪母子医療センター)

[I-OEP02-1] 遺伝性QT延長症候群2型の運動負荷心電図の特徴

杉谷 雄一郎, 宗内 淳, 江崎 大起, 松岡 良平, 土井 大人, 渡邉 まみ江 (九州病院 小児科)

Keywords:QT peak, 突然死, LQT

背景:遺伝性QT延長症候群(LQT2)は運動時Torsade des Pointes(TdP)や失神を起こす可能性があり、運動制限が問題となる. 目的: LQT2の運動負荷時の心電図波形の特徴やcardiac eventのリスクを同定すること. 方法: 当院に通院するLQT2 8例にトレッドミル運動負荷心電図を施行した. 負荷前, 最大心拍時, 負荷終了後1分, 4分においてFriedrisia法で補正したQT間隔(QTc)およびQTc peak (pQTc), pQTc/QTc比を測定し、LQT1 3例およびQT延長疑い例20例(Border例)と比較した. また失神既往例を含む3例の兄弟例とその他5例を比較した.結果: LQT2の施行時年齢11.4( 10.2─16.8)歳、性別(男児) 4例(50%)であった. 1例に失神の既往をみとめた. LQT2のQTcは負荷前, 最大心拍時, 負荷終了後1分、4分は各々508(460─592)msec, 419(362─444)msec, 424(402─451)msec, 496(439─539)msecで、最大心拍時に最小となり負荷終了後経時的に延長した. pQTcは各々409(318─513)msec, 288(284─307 ) msec, 285(269─287) msec, 378 (338─431) msecであった. pQTc /QT比は各々0.84(0.64 ─0.94), 0.68(0.66─0.81), 0.67 (0.64─0.71), 0.78(0.72─0.89)であった. 負荷後1分のpQTc/QTc比はLQT1およびBorder群と比較し有意に低値(各々0.80(0.78─0.83), 0.78(0.69─0.90), p<0.01)で、LQT2に特徴的な所見であった. また失神既往例を含む3例の兄妹例とその他5例の比較では, 負荷後4分のQTcが500msec以上延長した例が後者の5例中1例に対して前者は3例全例であった.運動負荷時失神やTdPを起こした例はなかった.結論:運動負荷終了後1分のQTp/QT比がLQT1やBorder群より低値であることはLQT2の特徴的な所見であった.また負荷終了後4分のQTcはLQT2のcardiac eventのリスク同定に有用である.