[I-OEP03-1] パルボウイルス感染が疑われた重症心不全女児の考察
Keywords:慢性心筋炎, 重症心不全, 補助人工心臓
【はじめに】小児においては慢性心筋炎の診断は心筋生検のリスクもあり、難しい。心筋炎関連の二次性心筋症で補助循環依存となった後、補助循環からの離脱を達成した女児2例を経験した。[症例1]10か月女児。発熱・嘔吐を契機に循環不全となった。心エコーで心収縮低下を認め、急性期のCPKの上昇は263 IU/Lにとどまり、前医で拡張型心筋症が疑われた。促進型心室調律から循環不全となり緊急で補助循環装置(VA-ECMO)を装着の上当院へ転院した。病歴では児発症の約半年前に児の姉がりんご病に罹患していた。心機能の回復に乏しく心臓移植適応となりBelrin Heart EXCOR装着に至った。心筋検体では間質にリンパ球浸潤と広範な心筋繊維化が認められ、末梢血・心筋のPCRよりパルボウイルスB19が検出された。[症例2]9ヶ月女児。発熱と呼吸困難で前医受診、心エコーで心収縮低下と心拡大を認め前医で拡張型心筋症と診断された。急性期のCPKは66 IU/Lであり、呼吸・循環管理への反応に乏しく補助人工心臓装着を念頭に入れ当院へ転院した。鎮静下に厳格な水分管理とカテコラミン投与を2週間行ったが改善なく、心臓移植適応となりBelrin Heart EXCOR装着に至った。心筋検体では、心筋細胞障害を伴うリンパ球浸潤と高度な心筋繊維化が認められ末梢血・心筋のPCRよりパルボウイルスB19が検出された。上記2例とも心臓移植を念頭にBelrin Heart EXCOR装着となったが、後に心機能が回復しBelrin Heart EXCORからの離脱を達成した。離脱時の血液検体では2症例ともパルボウイルスB19の消失またはDNAコピー数の減少を確認した。現在は外来で慢性心不全管理を継続中である。慢性心筋炎の病態とその診断について、2例の経過は参考になると考えられ経過を考察し報告する。