[I-PD01-3] 学校救急体制構築 「突然死ゼロ」+「社会復帰率100%」をめざして!
Keywords:学校救急, 突然死, シミュレーション
【背景および目的】学校救急体制構築において、AEDの複数台設置とチームによる連携トレーニングが重要である。日本小児循環器学会・蘇生科学教育委員会の取り組みの一環として、2019年8月に、愛媛県の小・中学校において、事故を想定した学校救急シミュレーションを施行した。小児循環器医の役割を、救命例の解析も含めて検討し報告する。【学校救急シミュレーション】学校での事故発生時から、心肺停止の認識、119番通報(訓練通報)、AEDの手配、胸骨圧迫・AEDの使用を含めた心肺蘇生、周辺の児童生徒の安全、救急車の誘導など、救急隊に引き渡すまでの実践シミュレーションを、教育委員会、消防などの協力のもと施行した。その後、情報共有、指導などを行い、問題点や課題などを共有し今後の目標などを設定した。【直近の救命例の解析】診断は冠動脈起始異常2例、LQTS(既知)1例、心筋症1例、予測不可能は4例中3例、運動関連は3例、家族歴は2例であった。初期対応者は養護教諭、胸骨圧迫は養護教諭または現場の医療者で開始までの時間は15秒~2分、AED施行者は養護教諭または現場の医療者で3~6分であった。救えた命に共通する条件は、質の良い迅速な応急手当+早期のAEDによる除細動である。課題は、胸骨圧迫の開始は養護教諭また医療者で、現場では養護教諭の到着を待つ傾向があることである。【考察および結語】今回のシミュレーションをモデルとして、全国に活動を広げていくとともに、屋根瓦式に、小児循環器学会―学校、学校―学校、教職員―教職員、教職員―児童生徒、児童生徒―児童生徒へと、各学校主導で研修を推進していけるようにマニュアルなどを作成しチームによる連携トレーニングに発展させていくことが大切である。小児循環器医は、「突然死ゼロ」+「社会復帰率100%」をめざして、学校救急体制構築・蘇生教育に積極的に参加していくことが重要である。