[I-PD02-3] QT延長症候群1-3型以外の臨床的特徴
キーワード:QT延長症候群, Andersen-Tawil症候群, Timothy症候群
QT延長症候群 (LQTS) は、小児期の突然死の原因となり得る遺伝性不整脈疾患である。現在、遺伝子検査により75%の患者に、17の原因遺伝子が同定されている。この17の遺伝子型のうち1-3型が90%を占めており、それ以外の型は非常に稀と考えられている。この中で臨床的に重要なのは、7、8、14、15型である。 1-3型以外の型の検討に際して、まず先天的にQT延長があるかを正確に検討する必要がある。特に運動時の心イベントでの心肺蘇生後に一過性QT延長をきたしている場合に、カテコラミン誘発生多形性心室頻拍 (CPVT) の鑑別に注意が必要である。 次にLQTSは型により発作の契機と治療が一部異なることから、表現型を踏まえて的確な遺伝子検査を行い、型を確定することが重要である。LQTS1-3型におけるT波形態の特徴はよく知られているが、7、8、14、15型においてもその特徴は参考になる。LQT7は著名なU波によるQU間隔延長、LQT8、14、15では3型に類似したT波の立ち上がりが遅いlate-onset Tを認めることが多い。 LQT7、8は心外合併症にも注意が必要である。LQT7はQU間隔の延長、周期性四肢麻痺、外表奇形を3徴とし、Andersen-Tawil症候群とも言われる。CPVTに類似した表現型を示すこともあり、β遮断薬、フレカイニドの有効性が報告されている。一方LQT8はこれまでTimothy症候群として知られ、合指症、精神神経症状、顔貌異常などを合併する極稀な疾患とされてきた。しかし近年、これらの心外合併症が揃わない症例が報告されており、臨床的な多様性が示されている。β遮断薬、メキシレチン、Ca遮断薬等の効果が示されている。 1-3型以外のLQTSについては未診断症例も多いと考えられる。今後、多くの症例が診断、検討され、より適切な管理が可能となることが期待される。